平成81996)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

8−共研−53

専門分類

5

研究課題名

異方性をもつ粒子による空間ランダム配置のモンテカルロ法

フリガナ

代表者氏名

タネムラ マサハル

種村 正美

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

調査実験解析研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

現実に現れる空間パターンは形をもった対象の集団から成っている。そのような空間パターンの統計モデルをつくる際、対象が球対称性をもつことを前提にして記述されることが普通である。しかし、自然界に見られる対象の多くは球対称性をもたない異方粒子である。従来の記述が成立するのは密度の低い場合であり、密度が高くなって粒子同士が接触する状況では、粒子の固有の形が空間パターンに反映する。本研究では異方粒子の空間ランダム配置のモンテカルロ法を研究する。


球対称でない粒子、つまり異方性をもつ粒子からなる空間配置は普遍的に見られる。このような空間配置パターンの統計モデルを構築するために、球対称性を持たない粒子系の空間配置の研究を計算機シミュレーションを通じて行うことが本研究の目的である。
今年度は、前年度に続いてランダム充填のシミュレーションとその構造解析に引き続いてマルコフ連鎖モンテカルロ法のシミュレーションを長方形や、楕円の粒子系に関して行い、それらの空間構造の特徴付けや、データへのモデルの当てはめを行った。
空間構造の特徴付けには前回と同様に、動径分布関数を用いた。通常の動径分布関数は粒子の方位に無関係に2粒子間の距離の相関を測るものであるが、これを用いて空間配置の特徴づけをした。その結果、ランダム充填による空間配置とマルコフ連鎖モンテカルロによる空間配置との間に、長方形および楕円の粒子系それぞれに明確な違いが現れることが判明した。さらに、方位に依存する一般化した動径分布関数を定義し、それを上記の両者に対して求め、方位による空間構造の違いが明確に現れることを示し、その理由を考察した。
さらに、今年度は、楕円系のモンテカルロ法によるシミュレーションに関する従来の研究について調査し、20数年前に行われた計算機実験を越えるような実験が関連の研究者によってまだあまりなされていないことが判明したので、これを次年度の目標とした。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Tanemura,M. "On Random Packings by Non-Spherical Particles", Acta Stereologica Vol.15, No.1, 1996, pp.97-102.

Tanemura,M. "Statistical Analysis of Spatial Patterns of Non-Spherical Objects and its Application", Seminar at the Department of Statistics,Iowa State University, 1996.12.02

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

代表者は、従来より球対称粒子の空間パターンの統計学を主として計算機シミュレーションを手段として研究を行ってきた。一方、共同研究者は計算物理学の分野で、球対称粒子集団に限らず、異方粒子の物理系にも興味をもって研究を進めてきた。「研究目的」を達成するために、このような両者が共同して研究を実施すれば、有用な成果が得られると期待できる。また、計算機シミュレーションの実行のために、統計数理研究所の強力な電子計算機環境の利用が不可欠である。本研究は次のような研究実施計画で行う。(1) 異方粒子として具体的に考えるのは、平面上では今回新たに異方的相互作用ポテンシアルをもつ粒子系である。(2) 計算の方法はモンテカルロ法を採用する。(3) 相互作用ポテンシアルとして、液晶のモデルなどで用いられている関数を用いて、プログラムを作成する。そのアルゴリズムには空間的生成消滅過程を用いる。(4) 対象粒子の各々のモデルに対して、計算機シミュレーションを高密度の領域で実行する。(5) 結果をまとめる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

上田 顯

京都大学