平成282016)年度 重点型研究実施報告書

 

課題番号

28−共研−4409

分野分類

統計数理研究所内分野分類

j

主要研究分野分類

7

研究課題名

研究IRコミュニティの形成に関する基礎研究

重点テーマ

学術文献データ分析の新たな統計科学的アプローチ

フリガナ

代表者氏名

ヤマダ レイコ

山田 礼子

ローマ字

Yamada Reiko

所属機関

同志社大学

所属部局

社会学部

職  名

教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

研究目的と成果(経過)の概要

IRはInstitutional Researchの略語であるが,機関研究と文字通り翻訳してもその意味は捉えにくい.小湊・佐藤(2012:323)は「機関の計画策定,政策形成,そして意思決定を支援する情報を提供するために,高等教育機関内で行われる調査研究」とするサウプの定義(1990)が最も広く受け入れられていると論じている.これまで黎明期にある日本のIRは学習成果に関連した教学IRおよび国立大学を中心とした評価対応としてのIRを中心に展開してきている.しかし,グローバル化と大学ランキングという日本の大学が直面している新たな課題が浮上しつつある.その際,大学研究力の分析が不可欠であるが,大学の研究は,国の評価制度への対応とステークホルダーの行政機関,資金配分機関の交付や連携企業の投資の意思決定の点,海外大学との連携可能な研究分野の決定の点から,研究IRが重要な課題となる.これまで,研究IRという概念の形成はIRに関する定義が一定していない状況において,それ以上に不透明であったといえる.研究IRの推進の前提条件として,論文数(質的指標),被引用数(量的指標)の測定については合意があるものの,研究IRに携わる人材についての知識やスキルについての標準的な条件,そして知識やスキルを身につけている人材による研究IRコミュニティの形成に関する要件についての検証,合意がないまま高等教育政策の流れのなかで実践が進みつつある.
 このような実態のなかで,研究IRにかかわる人材に不可欠な技能・スキルとは何であるか,研究IR人材を如何に育成し,コミュニティを形成していくのかは不透明である.本研究の目的は,2年間を全体期間として,1.専門職に関する文献研究, 2.米国でIR専門職協会として機能しているAIRの執行部を対象に,IRコミュニティの制度化過程およびIR人材に不可欠な能力・スキル要件と技術の向上のための機会提供等についてのヒアリングを実施(スカイプ会議),3.ウェブ調査により研究IRに携わっている職種であるURAを対象に,研究IRにかかわる人材に不可欠な技能・スキルの要件,そうした技能の育成機会,研究IRコミュニティ形成のための要件,専門職としての研究IR人材育成のための社会的要件等について調査を実施,4.研究推進にかかわる複数の理事・副学長を対象にヒアリング調査を行い,研究IR推進のための前提条件を明らかにする.
 初年度には,3.4.を2年目に実施するために,研究IRに関する文献研究,スカイプ会議でのAIRへのヒアリング調査を行う.Web調査のための調査項目(案)を抽出する.4.の研究担当理事・副学長へのパイロット調査を国立・私立2校程度対象に行う.2年目には3.4.を本格的に実施する.
2016年度はこのうち1.2を実施し,2016年AIRでの発表参加をした際にAIRの役員であるアデルマン博士にヒアリングを行った. また、AIRの会員でもあり統計とIRの研究者であるポーター博士とアンバック博士が来日した際に,同志社大学において研究会を開催し,アメリカの研究IRの現状についてヒアリングを行った.同志社大学のURAに対しても研究IRを推進していくうえで不可欠な能力要件についてのヒアリングを行った.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

山田礼子(2016)「アメリカにおけるIRの展開:IR機能に伴う二面性と専門性を中心に」 『高等教育研究』第19集 pp.25-48.
山田礼子(2016)「日本のIRの現段階」『IDE現代の高等教育』No.586 pp.11-16.
小林雅之・山田礼子(2016)『大学のIR:意思決定支援のための情報収集と分析』(慶応義塾大学出版会)pp.200.
山田礼子(2016、6月)「IRの発展過程の日米比較: 政策・市場・専門性との関連から」,日本高等教育学会第19回大会,追手門学院大学.
山田礼子(2016年、11月)「日本型IRの特徴と課題:日米比較の視点から」平成28年度大学マネジメントセミナー国立大学におけるIR戦略.
Reiko Yamada (2016, Nov)The Implementation of IR and QA Mechanism:
Governance and the Institutional Research in Japanese University, Higher Education Evaluation &Accreditation Council of Taiwan.
Reiko Yamada (2016, Dec). Role of IR in Japan: The significance of IR consortium, Taiwan Assessment and Evaluation Association (TWAEA).





研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

「研究IRに関するアメリカの現状に関する研究会」2016年10月7日,同志社大学,6名
「World Ranking Trends: APHERPResearch Cluster at Doshisha] March 2nd & 3rd, 2017, Doshisha University, 17名

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

木村 拓也

九州大学