平成51993)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

5−共研−5

専門分類

1

研究課題名

多変量パラメトリックモデルの特定化

フリガナ

代表者氏名

マツナワ タダシ

松縄 規

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

統計基礎研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

統計基礎理論の最重要課題のひとつであるモデルの分布の特定化の理論研究を、多変量観測値の場合について行うことを目的とする。
パラメトリックモデルを対象とし、修正・性能比強度関数に基づく手法の開発と具体的な多変量分布の誘導を行う。この方法と統計的不確定性関係に基づく方法との比較検討を行うことも副次的な目的である。


実ランダム行列変数の分布の特定化の問題について、それが必ずしも正方でない場合の基礎研究を行った。通常、多変量解析に於いては一変量の場合からの類推及び数学的扱いが比較的容易な、正方かつ対称と言う条件の下でランダム行列の分布を扱うことが多い。しかし実際の問題に於いてはこのような条件に当てはまらない、もっと一般的な場合も考えなければならない。ところが後者の様な場合に、我々が意図している問題を扱える組織的な接近方法は、筆者達の知る限り、見当たらなかった。そこでこの間隙を埋める為にパラメトリックな多変量基礎モデルを構築する一つの理論的方法の開発とその応用に基づく分布の誘導を試みた。
まず基本的な役割をする行列の演算に関する若干の準備をした。主要な結果として主パラメータ行列に関する最尤推定方程式が成立すると言う条件の下で一般の実ランダム行列変数の分布の特定化方程式を与えた。問題の設定と解析は理論構成上独立に同一分布する実ランダム行列変数に基づいて行われたが、研究代表者がこれまでに与えてきた統計的不確定性による統計基礎方程式と形式的に同等と言う注目すべき結果を得た。この方程式に基づいて一般の修正化された指数分布族を得た。行列正規分布、行列対数正規分布、行列Kotz型分布、von Mieses-Fisher型行列分布などを誘導出来ることを示した。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

T.Matunawa and Y.Zhao, Specification of Models for Observations in Multivariate Case, Reserch Memorandum No.500,1994, The Inst.Statist.Math.


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

(内容)連続型多変量分布のパラメトリックな統計基礎モデルを提案し、その特定化のための方法を与える。基礎モデルの修正・性能比強度関数に基づく特定化方程式、これと密接に関連するパラメータについての統計的推定方程式を求める。これらの方程式を用いて標準的な多変量分布を誘導する。ここでの方法は不確定性関係に基づくものより若干適用範囲が狭いことが予想される。この点をexponential dispersion modelを例に考察する。
(必要性)本研究は従来のモデルに関する統計理論の基本的な考え方を見直すことを意図しており、この為この問題に興味を持つ若い研究者の協力をえて新しい統計理論の基礎作りを共同研究として取り上げる事が必要と考える。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

Zhao Yi

総合研究大学院大学