平成242012)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

24−共研−2086

分野分類

統計数理研究所内分野分類

i

主要研究分野分類

3

研究課題名

耳鳴の原因となる神経基盤の解明

フリガナ

代表者氏名

オガワ タケシ

小川 剛史

ローマ字

Ogawa Takeshi

所属機関

(株)国際電気通信基礎技術研究所

所属部局

脳情報総合研究所 脳情報解析研究所 動的脳イメージング研究室

職  名

研究員

配分経費

研究費

40千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

本研究の目的は、耳鳴の発生に関わる聴皮質?辺縁系神経ネットワークの神経基盤を明らかにすることである。その意義は、自覚的症状である耳鳴を脳活動、脳形態の変化から客観的に示すこと出来ることにある。耳鳴によって聴皮質および辺縁系の脳形態変化や局所脳血流量の増加が見られるが、それらの神経基盤がどのように耳鳴を発生させるのか、未だに分かっていない。本研究では、MRI/EEG/MEGを用いて、聴皮質?辺縁系神経ネットワークの脳形態・脳活動・神経結合の異常な変化を空間的情報を基に神経活動の周波数分布を推定し、健常者と異なることを示し、将来的に耳鳴診断のための臨床応用を目指す。

これらの目標を達成するために、今年度は以下の3点について成果を得た。
(i)EEGにおける聴覚情報処理と1次聴覚野内での神経活動の関係性
fMRIやEEGでは、非侵襲的に1次聴覚野での脳活動を計測することが可能である。しかし、空間解像度やサンプリング周波数が低いことに加え、ボリュームコンダクションの影響などによりS/N比が低い。そのため、頭皮で計測されているEEG信号は、層構造を持つ大脳皮質の神経細胞群のどのような神経活動を反映しているのか特定することが非常に困難である。特に、耳鳴患者の聴覚野における聴覚情報処理の際の脳活動は、健常者と比べて過剰に活動ことが過去の研究から知られている。そこで、ラットの1次聴覚野の各層における聴覚情報処理の際の神経活動と局所電位が、聴覚刺激の音圧および振幅変調周波数によってどのように変化するのか調査した。その結果、50Hzの振幅変調波を聴覚刺激に用いると聴性定常反応がすべての層(SG層・G層・IG層)において確認された。また、局所電位の広範囲のガンマ帯域(40?250Hz)の持続的神経活動がすべての層において見られ、これらと神経発火が高い時間的相関を持つことがわかった。これらのことから、聴覚情報処理の過程において、脳波で計測されるガンマ帯域の局所電位の振幅の増加は、神経発火の増加を促すことから、耳鳴においても同様の現象が起きることが考えられる。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究代表者の小川は、以下の研究成果を国際会議においてポスター発表した。
Ogawa T, Jerbi K, Bertrand O, Riera J, Kawashima R, "Exploring the laminar origin of induced auditory gamma-band responses with 3D microelectrode arrays", 18th International Conference on the Biomagnetism, Paris, France, Aug 2012 (Poster).

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究会等は開催していない。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

吉本 敦

統計数理研究所