平成182006)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

18−共研−1017

専門分類

3

研究課題名

座り心地に関する統計学的研究2

フリガナ

代表者氏名

ミツヤ レイコ

三家 礼子

ローマ字

MITSUYA REIKO

所属機関

早稲田大学

所属部局

理工学術院

職  名

客員講師

所在地

TEL

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E-mail

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研究目的と成果(経過)の概要

人間工学では,椅子の評価を行なう際,主観的判断から椅子の「良い」「悪い」を判断していることが多い.主観評価は,被験者の嗜好性も反映されてしまう.そこで主観的判断を感性的,理性的の二つに分けて考えてみた.被験者の嗜好性が反映された場合,人は感性的に椅子を評価していると考えられる.また椅子に座って,「臀部への違和感がある」「座面が自分には高すぎる」といった決断を下す時,理性的に椅子を評価していると考えられる.また本研究では、この判断をファーストインプレッションと定義した。現在,主観評価で「良い」と判断された椅子が,客観的に見ても「良い」と言えるかどうか探求した研究はあまり存在しない.本研究ではこれらのことを踏まえ,これまで主観評価により行われてきた椅子の座り心地評価を見直し,客観的な手法で評価を行い,両者の関係を見ると同時に,椅子の座り心地をより詳細に調べ,新しい椅子の座り心地評価の提案をすることを目的とした。
まず,フォースプレートを用いて座面反力と重心動揺を測定した.フォースプレートの解析に時系列解析を用いることにより,測定の試行回数におけるデータの再現性をあげた.次に体圧分布測定について,本研究では測定結果に2つの解析を応用した.ひとつは従来の研究で行われてきた,体圧マップの観察という経験的評価である.もうひとつはニューラルネットワークを用いた適正座面高の判定システムを用いることである.最後に,ビデオ解析により,立ち上がり時における身体の股関節角度を測定した.
総合的な結果として,官能評価と,重心動揺の大小,体圧分布の良し悪し,適正座面高判定,関節角度の大きさの5つの客観的指標をレーダーチャートで示した.レーダーチャートによるデータの視覚化については考察の余地があり、各客観的指標の単位の違いをいかに表示するかが問題となった。なお座面反力は結果的に個人の体重を反映していることがわかったので,本研究における座り心地には直接関係のある因子ではないとして除去した.重心動揺の算出で座り込み時の身体の安定性がわかった.また,着座時の体圧分布を測定することは,座面と人との関係が明確になる.さらに立ち上がり時のビデオ解析により,人の関節角度の変化等を見ることで,姿勢変化を明らかにして,負担を予測することが可能となると考えられる.各測定結果において,被験者で,採取した主観評価結果ともほぼ一致している.
以上,椅子への着座を各客観指標を用いてデータの視覚化を行うことにより,ファーストインプレッションにおける椅子座面評価を提案することができた

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

学会発表
1. 山口祐、三家礼子、野呂影勇、座り込み時の座面評価手法の提案、日本人間工学会第36回関東支部大会卒業発表予稿集、2006.12.
2. 三家礼子、山口祐、成瀬哲哉、顔形グラフによる座面の視覚的検討、人間工学会第1回システム大会講演集、2007.3.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

田村 義保

統計数理研究所

富田 豊

慶應義塾大学

野呂 影勇

早稲田大学