平成51993)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

5−共研−68

専門分類

7

研究課題名

循環器疾患のリスク要因に関するコホート研究

フリガナ

代表者氏名

タカギ ヒロフミ

高木 廣文

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

調査実験解析研究系

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

7 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

高齢化が進む中で、循環器内科の臨床の場では従来からいわれている発生リスクの対策はある程度浸透しているにもかかわらず動脈硬化性疾患の増加が大きな問題になっている。
本研究は、三重県内の特定地域を研究対象地域とし、当該地域の成人住民について、長期コホート研究を実施し、循環器疾患発生要因を明らかにすることを目的とする。


循環器系疾患の発生予防の基礎的な研究として、三重県度会郡南勢町住民を対象に、生活習慣調査を実施した。本調査は、当該地域での今後13年間のコホート調査の初年度の調査にあたる。コホートとしては、平成5年4月1日現在、40歳以上、65歳以下のものであるが、基礎的データの収集のために、町立病院による住民検診受診者に対して、生活習慣調査を実施した。対象者は36〜69歳の1252名であった。平均年齢は男56.1歳、女54.7歳であった。職業は男では農林漁業が約半数を占め、女でも無職・主婦と合わせると60%弱であった。主な結果は以下のようである。
(1)既往歴では高血圧が最も高率であり、男の14.0%、女の16.2%で認められた。(2)現在の健康状態について、健康としたもの、男53.4%、女46.9%であった。(3)喫煙習慣について、現喫煙・既喫煙を併せると、男は76.5%になったが、 女ではわずか1.7%であった。(4)飲酒については、男ではほぼ毎日が47.6%いたが、女では1.3%であり、週に2〜3回としたものも3.1%と少なかった。(5)生活習慣では、高塩分、料理の進取性、清潔などの尺度で男女差がみられたが、他の尺度での相違は小さかった。(6)他地域との比較では、年齢・性別によらず肉・油脂。近代型朝食の得点が低く、やや高塩分の傾向があるが、好ましい食習慣を持つものと考えられた。また、娯楽、教養、社会奉仕などがやや低かった。問題点としては、心身の不安定性が高い傾向にあった点である。
今後の研究にとっての課題として、女の喫煙および飲酒習慣を的確に捉えるために、調査方法に何らかの工夫が必要なことが示唆された。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

コホート集団として、三重県度会郡南勢町在住の成人健康者を対象とする。調査期間は平成5年4月1日から平成18年3月31日までの13年間を予定している。
循環器系疾患の死亡率や発生率をもとに、統計学的に適当な検出力で同定できる標本数から、具体的な対象者を設定し、質問紙に含める検討項目の設定と数量化、また身体状況や血液検査項目などの臨床調査項目の設定など疫学調査として適当な調査デザインを早急に作成し、調査を実施する。
既存の循環器系疾患のリスクの知見とともに、近年の生物統計学の知見が必要である。これに伴い、大量データの管理および解析なども必要となる。上記の理由から、統計数理研究所との共同研究として実施する必要性のある課題である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

垣本 斉

三重県度会郡南勢町立病院

国吉 幹夫

三重県度会郡南勢町立病院

小西 得司

三重大学

佐藤 俊哉

統計数理研究所

中野 赳

三重大学

松村 康弘

厚生省国立健康・栄養研究所