平成61994)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

6−共研−50

専門分類

6

研究課題名

地下水中のラドン濃度の時系列データ解析

フリガナ

代表者氏名

ヒグチ トモユキ

樋口 知之

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

予測制御研究系

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

地震活動の前兆現象を捉えるために、さまざまなアプローチから努力・研究がなされている。地下水中に含まれる放射性元素ラドンの濃度を連続観測し、その地震に関連する異常変化を検出する方法もその一つである。得られるデータである気相中のラドン濃度の変化は温度変化の影響がほとんどで、地震活動に関係のある変動を捉えるためには、この影響をデータから推定し取り除く必要がある。


ラドン濃度測定装置内の物理現象を確率微分方程式で表現し、入力を地下水中のラドン濃度、出力を気層中のラドン濃度とする確率システムの最適制御問題を解いた。用いたデータは、東京大学理学部が福島県で定点観測しているものである。数例のデータ解析結果を踏まえて、現場のデータ取得者が容易にとりあつかえるようにソフトの改良と、ユーザーインターフェイスの設計も行った。
また、提案した手法の汎用性と有効性のチェックのために、シミュレーションデータを、入力データを既知とする微分方程式を数値的に解くことで作成し、それに提案した方法を適用して推定した入力データと比較する実験を多数行った。つまり、推定すべき地下水中のラドン濃度の値を与え、提案した解析法によって今度は逆に推定するという数値実験を多数実行した。これらの結果から、提案した方法の有効性が確かめられた。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

T. Higuchi, G. Igarashi, Y. Tohjima, and H. Wakita, Time series analysis of ground water radon using stochastic differential equation, Jounal of Physics of the Earth, 出版中


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

ラドン濃度を用いて現象を捉えようとする方法自体がきわめて独自であり、日本においてもこの観測を行っているには、東京大学理学部や地質調査所などごく少数である。本研究では、東京大学理学部観測を行っている地点のデータを解析する。測定装置内の物理現象を確率微分方程式で表現し、入力を地下水中のラドン濃度、出力を気相中のラドン濃度とする確率システムの最適制御問題を解く。
このモデル化は、実際の物理現象の現在の時点で最も現実的で自然な表現方法である。これにより、観測方法の付随的現象がもたらす問題点をソフト的に乗り越えられる。最終的には、データ解析の段階までを一体化した観測方法のシステムを提案する。開発する手法の汎用性・有効性の検証に、現在までに蓄積された大量のデータに対して応用し、器機特性の物理的側面からのチェックまでをも含めた結果の吟味を充分に行う。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

五十嵐 丈二

広島大学