平成31991)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

3−共研−3

専門分類

1

研究課題名

ランダムクラスターとその極限定理の研究

フリガナ

代表者氏名

ヒグチ ヤスナリ

樋口 保成

ローマ字

所属機関

神戸大学

所属部局

理学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

13 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

前年度と同様に,パーコレーション問題を中心に,そこに現れる種々のランダムな図形,運動に関する極限定理を考えたい。特にランダム系の広い分野で成功しているくり込み群の方法を用いた研究を行いたい。また,相転移モデルの臨界点近傍における興味ある極限定理(中心極限定理がこわれる例)を得たい。


今年度の研究も引き続きランダムクラスター上のランダムウォークに関する極限定理と相転移モデルにおけるパーコレーションの問題を行い、色々と興味ある結果が得られた。
連続空間内に(ユークリッド空間内に)ばらまかれたポアソン分布をする多数の球(ポアソン場、つまり多次元のポアソン点過程で中心が分布する球)を障害物にもつ反射壁ブラウン運動を考え、これがスケーリングによりブラウン運動(退化していない)に収束することを得た(種村)、また高温域のイジングモデルでのパーコレーション問題では、2次元でほぼ最終的な結果を得た(樋口)。三次元イジングモデルの相境界面に関する中心極限定理が低温で成立することもわかった(黒田)。
関連する話題では流体力学的極限、ランダム環境内のドリフトをもったブラウン運動の挙動、無限次元のStationary phase methodの開発等で今後につながる面白い研究成果が報告された。
最後に、本研究集会をクローズドな性格にすることができたため、非常に内容のある研究集会ができた。特に、今年度の成果の多くは昨年度の集会の刺激によるところが多い。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Takashi Hara, Mean field critical behavior for percolation in high dimeusions, Communications in Mathematical Physics,128 (1990)
Yasunari Higuchi, Level set Representations for the Gibbs states of the ferro-magnetic Isingmodel,Probab,Theo,Rel,Fields,90 (1991)他

樋口保成,Ising model a Gibbs分布の条件付き混合性とその応用,日本数学会年会,1991年10月10日, 他(原氏の上記の結果は上記年会の統計数学分科会特別講演)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

パーコレーションクラスター上での連続時間ランダムウォーク(ジャンプ型確率過程)に対する中心極限定理が共同研究員の一人によって本年度得られた。次年度はこの結果を一般化することにより,より一般の確率過程に対する極限定理を得たい。これは強く退化した係数をもつ拡散過程のホモジナイゼーションの問題と関連し,重要な問題であると思う。またパーコレーションなど相転移点近傍における特異な極限定理の成立する数学的構造を解明したい。この様な研究においては数理統計学と確率論の協力が必要であり,当研究所の清水教授との共同研究は非常に重要である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

内山 耕平

東京工業大学

河津 清

山口大学

黒田 耕嗣

慶應義塾大学

志賀 徳造

東京工業大学

清水 良一

統計数理研究所

高橋 陽一郎

京都大学

種村 秀紀

千葉大学

千代延 大造

名古屋大学

原 隆

学習院大学

舟木 直久

名古屋大学

眞鍋 昭治郎

大阪大学

宮本 宗実

京都大学