平成242012)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

24−共研−1016

分野分類

統計数理研究所内分野分類

d

主要研究分野分類

6

研究課題名

子ども期のメンタルヘルスに関する発達行動遺伝学的研究

フリガナ

代表者氏名

スガワラ マスミ

菅原 ますみ

ローマ字

SUGAWARA MASUMI

所属機関

お茶の水女子大学

所属部局

大学院人間文化創成科学研究科

職  名

教授

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

子ども期を含め人の一生 のなかで出現する多くの精神疾患や問題行動にはその発現要因として環境ストレスが深く関与しており、個体側の持つ素因的 脆弱性(vulnerability)との交互作用によってそれぞれの発現危険性が増減する。本研究では、乳児期から成人前期に至るまで の各発達移行期を網羅する複数のコーホートサンプルを長期追跡したデータの解析から、各移行期での環境要因と不適応発現 の因果関係を推定し、リスクをより健やかな発達につなげるためにはどのような条件が必要なのかを子ども期全体を通じて明らかにすることを目指している。これまでの多くの先行研究から、子どもたちの様々な不適応的行動の出現には、子ども 自身が有する生物学的・心理学的な要因、家族関係やケアの供給に関する家族要因、家庭外の養育・教育・職業機関での環 境要因や子育てや教育をめぐる地域環境要因、マスメディア要因など、広範囲な要因が関わっていることが知られてきている 。また、人の発達は先行する時期での発達を土台として進行する重層的構造を有するものであり、各時期での移行危機やそこでの不適応発現にはその時期での発達の問題のみならず、先行時期での問題も深く関与することもよく知られたことである。
これらの諸研究の知見をもとに、本研究では各発達移行期でのリスクに深く関わるテーマ(乳幼児期:家庭内外での愛着関係 と発達促進に関わる養育の質(care quality)、学齢期:社会性および学力の発達と学校適応、青年期:心理的自立とキャリア展 望の発達)に沿って必要変数の測定を経年あるいは隔年のパネル調査によって収集されたデータの解析を通じて検討していくことを目的とした。
 平成24年度は思春期・青年期に焦点をあてた解析を実施し、発表をおこなった。本研究は平成24年度から6年間の縦断研究として科研費(基盤A)に採択され発展的に継続することになった。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

・田中麻未・菅原ますみ・酒井厚・尾碕幸謙・山形伸二 児童・青年期の抑うつ
に影響を及ぼす遺伝と環境‐性差に関する発達行動遺伝学的検討‐,日本双生児研
究学会第27回学術講演会,慶應義塾大学,1,26,2013

・酒井厚・菅原ますみ・眞榮城和美  反社会的行動の発達:パーソナリティと家庭内外の環境による影響性の観点から, 子育て家庭のメンタルヘルス 発達精病理学的アプローチ(3)家族と子どもの精神病理, 2012, 日本教育心理学会第54回総会

・吉武尚美・松本聡子・室橋弘人・古荘純一・菅原ますみ 中高生の生活満足度に対するポジティブな個人内特性と対人関係の関連. 発達心理学研究, 2012, 23, 180-190.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

下記の研究会をお茶の水女子大学にて実施した:

7月12日(木)16:00〜18:30 (12名)
11月29日(木)17:00〜19:00 (10名)
12月20日(木)17:30〜19:30 (12名)
2月22日(金)15:00〜17:00 (11名)
3月13日(水)16:00〜18:30 (12名) 

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

尾崎 幸謙

統計数理研究所