平成71995)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

7−共研−27

専門分類

3

研究課題名

火力発電プラントの非線形制御

フリガナ

代表者氏名

オザキ トオル

尾崎 統

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

予測制御研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

PID制御と多変量自己回帰モデルを融合した制御法(中村-赤池 法)に更に、現代制御理論と現代非線形時系列理論の最新の結果を取り入れて、実際の火力発電プラントの制御系の改良、効率アップを試みる。


火力発電プラントの制御に限らず、現実の大規模かつ複雑な系の制御は殆どの場合「PID制御」とよばれる古典的方法で行われている。1980年代に入って中村秀雄と赤池弘次はPID制御の下で動いているシステムをPIDコントローラーを込みにして、両者合体したものを一つの複雑なシステムとみなし、それにさらに統計的方法に基づく最適制御をかけることによって、システムの安定性を保ちつつ制御効率を飛躍的にあげることが出来ることを示した。
現在この中村ー赤池法は日本国内、九州から北海道までの殆どの電力会社において、火力発電プラント制御に採り入れられ、更に国外の火力発電でも関心を集め続々と採り入れられている。中村ー赤池法の特徴は定常ガウス確率過程の線形理論に関する推測問題を徹底的に追及する中で生まれたものであるが、火力発電プラントの良く知られた特徴に炉の蒸気温度と蒸気圧力に関係する部分の応答特性が一定せず電力負荷の大きさに対応して大きく変化するという点がある。中村ー赤池法では電力負荷要求レベルが大きく変化する時点である種の線形補間をすることによってこの問題をクリアーしているが、彼等の方法で改良の余地があるとすればこの非線形性の取扱いであることは早い段階から知られていた。
本研究では赤池のオリジナルTIMSAC法にのっとって、多入力多出力システムのCausality解析と、鍵となる重要変数の選択の方法を利用しながら、システムの非線形性を考慮し、非線形モデルに基づくある種の局所的最適性を追及する非線形制御法を導入した。モデルの非線形性は状態遷移行列の要素(したがって固有値)を時々刻々の電力負荷要求のレベルの関数にすることによって実現されている。実際の火力発電所の試験データ(約40チャンネルの時系列データ)から最終的に8チャンネルのデータを用いて、モデル推定をおこない、推定離散時間モデルによるデジタル計算機実験でこの新手法の有効性を確認した。新しい制御手法を現実の炉の制御に使う前には色々な角度からのチェックが必要で、ひきつづきこの手法を17次元プラント微分方程式モデルやもっと精密な40次元微分方程式モデルによるシミュレーションに適用することにより制御効率の確認テストを行う予定である。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

まず、火力発電プラントをシミュレートする高次元(17次元から40次元)の微分方程式を用いて、人工的発電プラント稼働データをつくり、それに対し我々の導入した非線形制御モデル同定法を適用し、効果をチェックする。最終的に、実際の火力発電プラントの稼働データによってモデル同定、制御を行う。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

豊田 幸裕

日本ベーレー株式会社

中村 秀雄

日本ベーレー株式会社