平成182006)年度 若手短期集中型研究実施報告書

 

課題番号

18−共研−5003

専門分類

6

研究課題名

放射線帯粒子のデータ同化に関する基礎研究

フリガナ

代表者氏名

ミヨシ ヨシズミ

三好 由純

ローマ字

Miyoshi Yoshizumi

所属機関

名古屋大学

所属部局

太陽地球環境研究所

職  名

助手

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

50千円

旅 費

60千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

地球周辺の宇宙空間には、放射線帯とよばれる領域があり、そこには地球磁気圏で最もエネルギーが高い粒子が大量に存在している。放射線帯は、磁気嵐と呼ばれる太陽の爆発現象に対応する地球磁気圏の大規模擾乱時に、大きく変動する。放射線帯のエネルギーの高い粒子は、帯電、被爆などの形で、人工衛星の安定な運用や宇宙飛行士の安全な宇宙活動にきわめて深刻な影響を及ぼすため、その正確な動態の把握および変動の予測は、宇宙天気研究において重要な課題である。この放射線帯の時間・空間変動過程は、粒子の動径方向拡散という形でこれまで記述されてきており、平衡状態での放射線帯の空間分布については、よく再現されている。しかし、そこで用いられている拡散係数および粒子消失の時定数などを、観測的に決定することが難しいため、特に大規模擾乱時における変動の精度良い記述には限界があった。
本研究では、申請者がこれまで開発してきた動径方向拡散の物理モデルと、放射線帯を飛翔する人工衛星による高エネルギー電子のデータを用い、粒子フィルターを用いたデータ同化のアプローチを導入することによって、放射線帯の粒子変動現象を高精度に記述する手法の開発を行うことを目的とする。
2006年度は、統計数理研究所を訪問し共同研究者と議論を重ねることで、動系方向拡散の物理モデルに粒子フィルターを組み込んだ「放射線帯物理モデルのデータ同化の計算コード」を開発した。開発したコードの状態変数ベクトルと観測ベクトルの次元は、それぞれ2116、46である。開発したコードを用いて、状態変数ベクトルとして用いるパラメータの吟味、システム・観測ノイズの設定について、各種のケースについてのテスト計算を行った。その結果、コードの基本的動作を確認するとともに、開発されたコードは、物理モデルに用いている拡散係数、粒子消失の時定数の評価に十分な性能を持っていることが明らかとなった。
これらの結果について、米国地球物理学連合秋季大会、ならびに国内の研究集会において発表を行った。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

本研究に関して、以下の国際学会、国内研究集会での発表を行った。

Y. Miyoshi, G. Ueno, V. Jordanova, G. Reeves, and T. Goka,
Data assimilation of the radiation belts, AGU fall meeting, 2006.

三好由純、上野玄太、V. Jordanova, G. Reeves, 五家建夫、
放射線帯電子のデータ同化、JST/CREST・NICT合同シミュレーション研究会、2006.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

上野 玄太

統計数理研究所