平成81996)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

8−共研−37

専門分類

3

研究課題名

不確実性下における森林資源利用の最適制御

フリガナ

代表者氏名

ヨシモト アツシ

吉本 敦

ローマ字

所属機関

宮崎大学

所属部局

農学部

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

森林資源を取り巻く環境の変化に伴い、その利用法も従来の決定論的方法によるものから将来的な不確実性を考慮した確率論的な方法によるものに推移する必要がある。本研究では木材価格等の確率現象を描写する確率モデルを構築することにより、適切な森林資源利用を目的とする確率的制御モデルの探求を研究目的とする。


これまで、森林資源は国産材価格の低迷により、リゾート開発等といった木材生産以外の産業のために開発されてきた。こうした開発が進む大きな理由は、木材生産資源として評価される森林資源の経済価値が過小評価され、リゾート開発等が生み出す経済価値を大きく下回ることにある。
森林資源の経済価値を評価する方法は、いわゆる現在価値換算を用いた決定論的な手法によるものが多く、将来的な不確実性・不可逆現象に対する価値は考慮されていない。
従って、森林資源を取り巻く環境の変化に伴い、その利用法も従来の決定論的方法によるものから将来的な不確実性を考慮した確率論的な方法によるものに推移することが必要不可欠となってきた。
本研究は木材価格等の確率現象を描写する確率モデルを構築することにより、適切な森林資源利用を目的とする確率的最適制御モデルの探究を研究目的とするものである。
今回の研究では、13種の異なった木材価格時系列データを用いて木材価格動向の連続型確率微分方程式によるモデル選出を行った。まず、13の状態依存型の確率微分方程式を仮定し、局所線形化法によりパラメータの推定を行った。
分析の結果、ほとんどの樹種に対し、dχt=(α+βχt)dt+σdBt が最も良いパフォーマンスを示したが、dχt=αdt+σdBt、dχt=βχt dt+σdBt とdχt=χt σdBt が更に良いパフォーマンスを示したケースも観察された。
今後は、これらのパフォーマンスの違いが確率的最適制御モデルによる意思決定にどのような影響を与えるのか分析していく必要がある。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

本研究では、まず森林成長・木材価格の時系列データを収集した後、それらのデータを用いて森林成長及び木材価格動向の連続型確率微分方程式によるモデル化を行う。次に局所線形化法により確率微分方程式のパラメータの推定を行う。その際、複数の確率微分方程式の構築によりモデルの比較分析を行う。最後に導出されたモデルを用いて確率的制御による森林資源利用の最適化モデルを構築し、ケーススタディーによりシミュレーション分析を行う。本研究において連続型確率微分方程式によるモデル構築とそのパラメータ推定には統計数理研究所研究者の協力が必要不可欠であり、ここに本研究を宮崎大学研究者と統計数理研究所研究者との共同研究として申請を希望する。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

尾崎 統

統計数理研究所

佐藤 整尚

統計数理研究所

庄司 功

筑波大学