平成212009)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

21−共研−1004

分野分類

統計数理研究所内分野分類

b

主要研究分野分類

3

研究課題名

非線形振動子ネットワークのMCMCによるサンプリングと統計的解析

フリガナ

代表者氏名

イバ ユキト

伊庭 幸人

ローマ字

Yukito Iba

所属機関

統計数理研究所

所属部局

モデリング研究系

職  名

准教授

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

振動数の異なる非線形振動子系の引き込み現象は,典型的な非線形現象のひとつであり.脳,心臓,絨毛など生体器官のモデル,また,生物集団の協調行動,化学反応,レーザーなどのモデルとして,広く研究されてきた. 本研究では,非線形振動子ネットワークの設計問題(逆問題)を,マルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC)によって研究する.本研究の特徴は,結合の有無だけでなく強さの設計も考えることである.
具体的には,MCMCの各ステップごとに振動子系のシミュレーションを行って,引き込みの度合いを与える各種の規準(位相秩序変数.振動数秩序変数)を評価し,結合の絶対値の総和に関する制約(L^1拘束)とあわせて,サンプリングを行い,生成されたネットワークの性質を調べる.
 本年度の研究では以下のことを行った.
・ プログラムをMPIを用いて書き直し,クラスタマシン上で並列に実行できるようにした.これにより以前より格段に多くの計算を実行できるようになり,結果の信頼性が大幅に増した.
・ レプリカ交換モンテカルロ法により,解空間のエントロピーを計算することで,解の多様性に関する情報を引き出すことが可能になった.また,解の性質を表現する統計量をあらたに導入した.
・ これらにより,引き込んでいる振動子の数のみを規準に取った場合(振動数秩序変数)と位相の揃い方の程度まで考慮した場合(位相秩序変数)で結果が違うという理論的な予想(及び前の年までに得られた予備的結果)を確認し,より精密に表現することができた.これは結合の強さの設計まで考えたときにはじめて明確になる結果であり,本研究によってはじめて見出されたものである.
本共同研究は本年度でひとまず終了するが,結果は来年度中に欧文誌に投稿の予定である.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

青柳 富誌生

京都大学

伊賀 志朗

京都大学