平成26(2014)年度 一般研究1実施報告書
| 課題番号 | 26−共研−1004 | 分野分類 | 統計数理研究所内分野分類 | a | ||
| 主要研究分野分類 | 5 | |||||
| 研究課題名 | ステント形状最適化に関するパラメータスタディ | |||||
| フリガナ 代表者氏名 | オオタ マコト 太田 信 | ローマ字 | Ohta Makoto | |||
| 所属機関 | 東北大学 | |||||
| 所属部局 | 流体科学研究所 | |||||
| 職 名 | 准教授 | |||||
| 研究目的と成果(経過)の概要 | 
| 血管壁が瘤状に肥大化する病気である脳動脈瘤の治療法に血管内治療がある.近年ではフローダイバータス テント(FD)と呼ばれる,動脈瘤内の血流を低減させ血栓化を促す医療デバイスが注目を集めている.現状の FDは一様に密なストラットで構成されており,低多孔率のため親血管が血栓で塞栓する可能性が指摘され ている.これに対して,近年では最適化と呼ばれる手法を用いて,高多孔率でありながら血流低減効果の高 いステント形状の探索が行われている.しかしながらこれまでの研究において,最適化は多数の計算モデル を必要とすることから,微細なFD表面形状に適合した計算格子を作成するために作業者に大きな負担がか かることや計算時間が大量になることが指摘されていた.例えば,通常微細なFD表面形状の計算格子作成 には1週間程度を要し,時には格子作成が困難な場合もある.これは,FD表面形状のスケールと動脈形状の スケールには約200倍程度の差があり,そのスケール差に適合した計算格子形状の作成パラメータを見つけ 出すのが困難なためである. そこで申請者らは理想形状動脈瘤に対し,格子ボルツマン法と擬似焼きなまし法を組み合わせることにより ,ステント形状作成,計算格子生成,数値流体計算,血流低減効果の評価の一連の過程を自動化した,ステ ント形状最適化プログラムの開発を行い,自動化プロセスの有効性を示した.その結果,これまでの動脈瘤 への流入を妨げるためには,流入領域にストラットが配置されることが重要であると示唆された.しかしな がら,本プログラムでは,血流低減効果など一種類の目的関数を評価することしかできず,今後の様々な目 的関数を考慮することや,患者データによる多数データを処理したときに,本プログラムでは実時間での計 算をすることが困難になる.これまで本申請者は,より効率よく最適解を探索するための手法を開発してき た。その結果,流れに着目したステントの留置位置を特定することができるようになった.これは,瘤内に流入する位置が特定されること(BOIを名付けた)から,そのBOIを阻止するようにステントを留置することであり,最適化手法によりその有用性を示すことができた.さらに,このことを実際の患者形状を用いて示すことができた.以上より,BOIをパラメータとした血流減少を理論的に裏付けることができた. | 
| 当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等) | 
| Hitomi Anzai, Jean-Luc Falcone, Bastien Chopard, Toshiyuki Hayase, Makoto Ohta  | 
| 研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。 | 
| Interdisciplinary Cerebrovascular Symposium, June 2-4, 2014, Zurich, Switzerland | 
| 研究参加者一覧 | |
| 氏名 | 所属機関 | 
| 安西 眸 | 東北大学 | 
| 斎藤 正也 | 統計数理研究所 |