平成152003)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

15−共研−1013

専門分類

6

研究課題名

応力変化に起因する地震活動の時間変動

フリガナ

代表者氏名

イワタ タカキ

岩田 貴樹

ローマ字

Iwata Takaki

所属機関

防災科学技術研究所

所属部局

職  名

特別研究員

所在地

TEL

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E-mail

URL

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

カナダのUnderground Research Laboratoryでは1998年9月に地下坑道内の一部にコンクリートを充
填し、その後約1ヶ月に渡り、それが固まっていく過程で発生した微小破壊(AE)の観測を行った。観
測期間中、3回の顕著な破壊面の形成を伴うAEの発生過程が観測された。このAEは、自然界におけ
る非常に小さな地震に対応し、破壊面の形成は、コンクリートの固化に伴う応力増加によって発生し
たと考えられる。
 応力増加とAEの規模別頻度分布との関係を調べるべく、このデータを用いて、規模別頻度分布を特
徴付けるパラメータであるb値の時間変動に関する解析を行った。解析の際、データのばらつきを押
さえるため、ガウス分布型のsmoothness priorを導入し、b値の時間変動が滑らかになるよう拘束を
加えた。smoothness priorの強さはABIC(Akaike's Bayesian Information Criterion)を用いて決めた。
これとは別に、拘束を非常に強くすることでb値の時間変動を許さない場合のABICも計算し、両者を
比較することで、得られたb値の時間変動が有意なものであるかどうかの検討も行った。
 解析の結果、3回の顕著な破壊面形成があったにも関わらず、b値の時間変動は有意なものではなか
った。この理由として、本研究で扱われたデータは、コンクリートが固化する過程で得られたため、
コンクリートの強度そのものが変化することによる影響が大きい。そのため応力増加とb値との相関
が明瞭には見られなかったのではないかと考えている。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

論文:
Iwata,T.,and R.P.Young,Tidal stress/strain and the b-value of acoustic emissions at the Underground Research
Laboratory,Canada,2003,submitted to Pageoph.
Iwata,T.,and R.P.Young,Temporal b-value changes of acoustic emissions during fracture evolution,in preparation.
学会発表:
Iwata,T.,Tidal stress/strain and acoustic emission activity at the Underground Research Laboratory,Canada,2003,3rd
International Workshop on Statistical Seismology.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

尾形 良彦

統計数理研究所