平成252013)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

25−共研−2020

分野分類

統計数理研究所内分野分類

d

主要研究分野分類

3

研究課題名

歯科疾患実態調査資料のコウホート分析

フリガナ

代表者氏名

ナカムラ タカシ

中村 隆

ローマ字

Nakamura Takashi

所属機関

統計数理研究所

所属部局

データ科学研究系

職  名

教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

[研究目的]
 厚生労働省「歯科疾患実態調査」は昭和32年から6年ごとに実施されており、最近では第10回調査が平成23年に実施され、調査結果の詳細は平成24年1月に公表された。
 本研究では、これまでに蓄積した9回分の歯科疾患実態調査データベースを基礎資料とし、24年に公表された第10回分を追加して、ベイズ型コウホートモデルによる分析を実施することを目的とした。
 特に、最近話題の、最も若い世代における齲蝕減少や現在歯数減少の動向、さらに、現在60歳台後半になっている昭和15年前後生れの齲蝕の少ない世代の現況、その他、歯科保健、歯科医療の需給に関する研究にも新たな検討を加えるのが主眼である。

[研究成果]
 2007年度の本共同利用研究を活用して、それまでに蓄積した昭和32年から平成17年までの9回分の歯科疾患実態調査データベースに、平成24年に公表された第10回調査によるデータを追加し、新たなコウホート表を作成した。(その際,公表されたデータに(100件を越す)多数の誤植を発見したので,厚生労働省に連絡し公表数値が訂正されることとなった。)
 本年度は,作成したコウホート表のうち,「永久歯DMF歯数」と「永久歯現在歯数」に焦点をあてて,ベイズ型ロジット・コウホートモデルによる分析を行なった。現在,今回の分析結果と,これまでの研究結果との比較を試みているところであるが,
・昭和15年前後生れの齲蝕の少ない世代は男女とも今日に至るまで明らかに歯数が多い。
・平成23年で,男は40歳未満,女は45歳未満で0.9本台を保つようになり,30代後半から50代前半までの女性の歯数は男性を上回る。
・年齢効果は3効果のうちで変化が最も大きい。
・時代効果は,男で昭和62年調査,女で50年調査が最も低く,その後増加している。
・最近2回の調査においては,男性の増加率は女性に比べて低い。
・コウホート効果は,前述の昭和15年前後生れにピークがあり,昭和30年生れまで低下した後,昭和35年から50年生れで上昇しその後再び低下している。
・性差は,明治生れは女性で低く,戦後生れは女性で高い。
ことなどが判っている。
 以上より,近年の下顎第一大臼歯の歯数の増加は,昭和30年生れより若い世代で顕著であり,特に現在40歳付近の50年以降に生れた世代では女性の方が優位である。今からでも遅くはないので,日本人男性中高年における歯数確保のための口腔保健改善が必要であると考えている。
 これらの結果は,日本老年歯科医学会(福岡市,2014)にて報告の予定である。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

本研究に関連するこれまでの研究発表

[論文]

・那須 郁夫, 渡邉 寿子, 中村 隆, 堀内 俊孝 (2003). 日本人習慣飲酒のコウホート分析---国民栄養調査による---, 厚生の指標, 50(2), 1-8.

・那須 郁夫, 中村 隆, 森本 基 (1996). 永久歯現在歯のコウホート分析,歯科疾患実態調査資料を用いて, 老年歯科医学, 11(2), 88-99.

・那須 郁夫, 中村 隆, 森本 基 (1996). 歯科疾患実態調査資料による歯磨き回数のコウホート分析, 口腔衛生学会雑誌, 46(3), 306-317.

・那須 郁夫, 森本 基, 中村 隆 (1984). 下顎第1大臼歯齲蝕経験のコウホート分析-歯科疾患実態調査報告資料による-, 口腔衛生学会雑誌, 34(3), 240-247.

[学会発表]

・那須 郁夫, 中村 隆, 生田 明敏, 新保 秀樹, 砂治國隆 (2013). 飲酒、喫煙、運動習慣のコウホート分析と各習慣の年齢、時代、世代効果の相互関係, 日本公衆衛生学会, 津市:三重県総合文化センター, 2013/10/25.

・那須 郁夫, 中村 隆, 生田 明敏, 新保 秀樹, 渡邉 寿子,砂治國隆 (2011). ベイズ型コウホート分析による日本人の飲酒習慣と喫煙習慣の比較検討, 日本公衆衛生学会, 秋田市:アトリオン, 2011/10/20.

・那須 郁夫, 中村 隆, 生田 明敏, 新保 秀樹, 渡邉 寿子,砂治國隆 (2010). コウホート分析による日本人の生活習慣、特に飲酒、喫煙、運動について, 日本公衆衛生学会, 千代田区:東京国際フォーラム, 2010/10/29.

・那須 郁夫, 中村 隆, 堀内 俊孝, 生田 明敏, 新保 秀樹, 渡邉 寿子,砂治國隆 (2009). 国民健康・栄養調査による日本人運動習慣のコウホート分析, 日本公衆衛生学会, 奈良市:奈良県文化会館, 2009/10/22.

・那須 郁夫, 中村 隆, 堀内 俊孝, 生田 明敏, 新保 秀樹, 渡邉 寿子, (2008). 国民健康・栄養調査による日本人飲酒習慣のコウホート分析, 日本公衆衛生学会, 福岡市:福岡国際会議場, 2008/11/7.

・那須 郁夫, 中村 隆, 堀内 俊孝, 宮崎 至洋, 生田 明敏, 新保 秀樹, 渡邉 寿子 (2008). 歯科疾患実態調査による日本人歯種別現在歯数のコウホート分析, 平成17年調査資料を加えて, 日本口腔衛生学会, 大宮市:大宮ソニックシティ, 2008/10/4.

・那須 郁夫, 中村 隆, 堀内 俊孝, 生田 明敏, 新保 秀樹, 渡邉 寿子, (2007). 国民健康・栄養調査による日本人喫煙習慣のコウホート分析, 日本公衆衛生学会, 松山市:愛媛県県民文化会館, 2007/10/25.

・那須 郁夫, 中村 隆, 堀内 俊孝, 宮崎 至洋, 生田 明敏, 新保 秀樹, 渡邉 寿子 (2007). 歯科疾患実態調査による日本人歯種別DMF歯数のコウホート分析, 平成17年調査資料を加えて, 日本口腔衛生学会, 江戸川区:タワーホール船堀, 2007/10/4.

・那須 郁夫, 中村 隆, 堀内 俊孝, 宮崎 至洋, 生田 明敏, 新保 秀樹, 渡邉 寿子 (2005). 若い世代の齲蝕減少の要因としての歯の崩出遅延, DMF歯数と現在歯数のコウホート分析による検討, 日本口腔衛生学会, 品川区:品川区立総合区民会館, 2005/10/8.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

ありませんでした。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

生田 明敏

日本大学

新保 秀樹

日本大学

那須 郁夫

日本大学