平成41992)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

4−共研−105

専門分類

9

研究課題名

追跡調査における繰り返しのあるデータの発生に及ぼす関連要因の検出

フリガナ

代表者氏名

カサギ フミヨシ

笠置 文善

ローマ字

所属機関

放射線影響研究所

所属部局

職  名

研究員

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

ある特定の対象集団の長期にわたる追跡調査において、各個人に対して、ある事象の有無(0,1)データの発生が繰り返し観測される時、その事象の発生に影響を及ぼす個人の特性を検出する統計的手法を検討する。


何等かの疾患の発症と有意に関連する危険因子を検出することを目的として、特定の集団を固定し、その集団を対象とする臨床的医学的検査を通して、疾患の発症を追跡する縦断的研究が行われる。この時、各対象者は繰り返し受診することになるが、もちろん受診しないこともありうる。
このような対象者の受診行動に対して、どういう要因が関与しているのかを検討することは、その追跡調査にバイアスがあるのかどうかを見極める上で重要な課題であり延いては、もし、検出された危険因子と受診行動との間に関連が認められるならば、その検出された危険因子の有意性の信頼にもかかわってくる問題となってくる。
非受診と受診を0と1とすれば、各対象者から0−1の、経時的に繰り返しのあるデータが得られることになる。死亡すれば、そこで打ち切りである。各受診年度毎に横断的に、受診行動に関連する要因の有意性を解析するならば、年度により異なった有意性が出現し、受診行動と要因との統一的な検討ができない。そこで追跡したすべての年度を通して、更に各年度間の受診行動の相関性にも考慮して、全体的な有意性の検討が必要となってくる。
そこで、受診行動に関連する各要因と受診年度とに基づいて、データをクロス表に分割表示し、受診及び非受診の0−1データを、各セルに占める生存対象者中の受診者数で求められる受診率に置き換えて検討した。各年度間の受診行動の相関性は、受診率間の依存性として考慮した。
この方法により、パラメータの推定にはイテレーションが必要ではあったが、既存のロジスティック解析法が利用でき、受診行動に関連する要因の全体的な有意性の検討ができた。30年間追跡調査されている固定集団を例として、この方法を適用した。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

この種の(0,1)データは、各個人の追跡に応じた到達年齢及び各個人の特性に依存しながら互いに相関をもって発生している。例えば、対象集団を繰り返し検査する追跡調査において、その受診率を、性、到達年齢、ある環境要因への暴露などの個人特性で説明するとき、この種の問題が発生する。横断的に受診率を繰り返し検討することは適切ではなく、受診率つまり(0,1)データに相関を入れて縦断的に個人特性との関連を検討する必要があろう。
当データは各時点の発生確率間に一定値の相関をもたせたモデルで解析されているが、本研究では、相関に個人特性を考慮したい。ある環境物質の汚染の有無の変遷などの解析にも通じるものであり、当分野における先導的役割を果たしている統計数理研究所の経験と我々の保持するデータとの結合は意義のある共同研究と思われる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

佐々木 英夫

放射線影響研究所

中村 忠

島根大学

藤田 正一郎

放射線影響研究所

柳本 武美

統計数理研究所