平成262014)年度 共同利用登録実施報告書

 

課題番号

26−共研−20

分野分類

統計数理研究所内分野分類

d

主要研究分野分類

6

研究課題名

鶴岡調査資料の音声項目と属性・意識項目との関係の分析

フリガナ

代表者氏名

ヤナギムラ ユウ

柳村 裕

ローマ字

Yanagimura Yu

所属機関

国立国語研究所

所属部局

時空間変異研究系

職  名

プロジェクト非常勤研究員

 

 

研究目的と成果の概要

 本研究の目的は、統計数理研究所調査科学研究センターで管理する「鶴岡市における言語調査」(以下、鶴岡調査)のランダム・サンプリング調査のデータの提供を受けて、その解析を行うことである。鶴岡調査は国語研と統数研の共同調査であり,1950年に第1回調査が行われてから,約20年に一度の間隔で,計4回の調査が行われた。研究の対象は山形県鶴岡市の16歳以上の男女市民であり,調査のテーマは,地域社会における共通語化の進展である。4回の調査で述べ2500名程度の協力者が参加しており,一地域の言語調査としてはサイズの大きな調査データとして,方言学・社会言語学の分野でしばしば参照される貴重な資料を提供している。
 直近の調査は2011年の第4回調査である。調査は,調査の都度対象者を,鶴岡市民から無作為に抽出して実施されるランダムサンプリング調査と,2回目以降の調査では前回までの調査への協力者に繰り返し協力を依頼するパネル調査とから構成されている。前者によって,地域社会全体での共通語化の過程が分析され,後者によって個人内での方言使用の変化が分析可能となっている。
 本研究では,その調査データのうちの,ランダムサンプリング調査のデータを分析することを主眼としている。分析のテーマ・内容は以下のようなものである。
 鶴岡調査資料の音声・音韻項目の分析により明らかになった発音の話者変異や経年変化(共通語化)のパターンと、話者の属性・意識項目との関連を分析する。特に、第4回調査の結果を新たに分析に加え、それまでの分析結果との関連を見る。具体的には、主にコレスポンデンス分析により、共通語化の進行と関連の深い話者属性・意識はどのようなものか、どういった要因が相互に関連しているかを探る。そして、鶴岡での社会状況・人口構成などの変化も踏まえ、言語変化のパターンと、そのメカニズム、それに関わる要因がどのように変化してきたかを明らかにする。
 成果の概要は以下のとおりである。本申請の後、データの管理を担当している統計数理研究所調査科学研究センターの前田准教授と連絡をとり、コードブック、基礎集計表の内容などを確認して、今後の素データ利用のための準備を行った。申請からの時間が短かったため、本年度の研究はそこまでで終了している。次年度、あらためて同一課題で申請して研究を継続する予定である。
 また、成果の発表については、研究を開始したばかりであり、特段の成果は未発表である。次年度に改めて、共同利用登録による鶴岡調査のデータの利用を通じて、成果発表につなげる予定である。