昭和621987)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

62−共研−86

専門分類

8

研究課題名

精神障害者の犯罪にかかわる諸要因についての分析

フリガナ

代表者氏名

ヤマガミ ヒロシ

山上 皓

ローマ字

所属機関

東京医科歯科大学

所属部局

難治疾患研究所

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

わが国においては,殺人や放火などの重大な犯罪を犯して検挙される者のほぼ1割が精神障害者によって占められる。
共同研究申請者の1人である山上は,先に,昭和55年1年間にわが国において認められた,統計963例の精神障害犯罪者についての概括的な調査資料を入手し,このうち精神分裂病の324例については,自ら詳しく調査したことがある(法務総合研究所の協力をえて行われた調査である)。本研究の目的は,これらの資料を解析し,犯罪予防に役立てることにある。


下記の経緯により研究期間の延長,継続を希望する。今期間内にあげえた研究成果と残された課題の概要は次の通りである。
1.昭和55年1年間のわが国の精神障害犯罪者総計963例について,共同研究者の1人である山上が,法務省の協力を得て調査し入手しえたデータ(各事例につき200項目以上におよぶ)を,コンピュータに入力した。今後このデータをもとに,後述する各種調査結果をも参照し,精神障害犯罪者の再犯予測因子について解明したい。
2.これら963例の5年間の予後調査の結果,総計68例の再犯例(殺人6例等,凶悪犯が計12例におよぶ)を見出した。再犯要因に関するデータの整理はまだ不充分であるが,再犯予測因子としては逮捕歴の有無がとりわけ重要で,さらにその者の職業の有無,居住条件の優劣(住居不定,単身居住等),精神科治療に対する態度(治療の拒否や中断)なども,かなりの重要性をもつことがわかった。
3.この間に山上は,別途入手してあった,前記963例中精神分裂病の324例に関する,詳細な資料の調査を続け,今回,放火犯76例,強盗犯14例,性犯罪者19例についての調査を終え,これにて全324例の調査を終えることができた。現在,この324例についてのデータを整理中であり,この詳しいデータについても,近くコンピュータに入力し,上記した全963例についての概括的なデータと照合しながら,再犯要因等についての解析を進めたい。
できれば,近いうちにこの成果をすすめ,単行本として公表し,精神障害者の犯罪の予防に寄与したいと考えている。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

上記した963例の精神障害犯罪者,なかんずく324例の精神分裂病犯罪者については,その病歴や前科歴,犯行当時の生活状況,犯行の動機,態様,被害者,などの項目について,詳しい調査資料がある。
この資料において,個々の所見が相互にいかなる関係を有しているかを,専門的な統計学的手法によって解析すれば,彼らの犯罪を特徴づける要因や,彼らによる犯罪の予防上の要点について,より客観性を有する考察を進めることが可能になるものと思われる。
なお,山上は,比較的最近,上記963例の再犯(昭和55〜60年の間の)について調査をも行った。この調査結果をもあわせ解析すれば,なお一層興味深い結果がえられるのではないかと考える。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

鈴木 達三

帝京平成大学

中村 隆

統計数理研究所