平成51993)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

5−共研−82

専門分類

7

研究課題名

医学研究のデザイニングにおける統計学的考察に関する実証研究

フリガナ

代表者氏名

オリガサ ヒデキ

折笠 秀樹

ローマ字

所属機関

富山医科薬科大学

所属部局

医学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

医学研究の善し悪しは、そのデザインでほとんど決まる。科学的に妥当なデザインの下で生み出されたデータでなければ、いくら高度な統計解析を行っても無意味である。
本研究では、医学研究のデザイン面のチェックリストを用いて、各論文の適否をチェックする。研究デザインにおける統計的考察の貧弱さを浮き彫りにし、統計学者のその段階での介入の必要性を促すことが目的である。


医学研究の善し悪しを左右する一因は、その研究デザインが目的成就のために妥当であったか否かである。科学的に妥当なデザインの下で産み出されたデータでなければ、いくら高度な統計解析を行っても無意味であろう。ジョン・ベイラーは医学論文審査の経験に基づき、却下理由として統計解析の誤りはまれであるが、統計デザインなどもっと基本的部分の欠陥は多いと指摘している。
欧米の一流医学雑誌ほど、内容審査に統計専門家をおいて点検している。我が国の現状をつかむために、医学論文に基づく実証的研究を企画した。本研究では、審査システムを有している医学雑誌を8誌選択して、その中の原著論文を連続的に選択した。全部で125論文に関して、あらかじめ作成したデザイン面点検用紙を用いて、2人の統計学者が独立に各論文の質を評価した。評価に際しては、バイアスの入らないようにキー項目は事前に消しておいた。また、2者間の評価の食い違いは協議の上決定した。
層化要因として、基礎、臨床、疫学の別と、観察、介入研究の別をそれぞれ考慮した。結論として、介入研究でのランダム化に関する不十分な記述と、観察研究で事後に対照(コントロール)を設けていること−対照選択の妥当性への疑問−等が得られた。統計学者は、今後医学研究者に対して、研究デザイン・コンセプトの面をもっと教育する必要性が示唆された。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

H.Origasa,T.Sato,A.Sakuma,and A.Kashii:A survey of the design aspects in Japanese medical journals.
The 14th Meeting of the International Society for Clinical Biostatistics,1993.9.21-24.
折笠秀樹、佐藤俊哉、佐久間昭、柏井昭良:我が国の医学研究デザインに関する統計レビュー。日本計量生物学会1994年度大会:1994.4.22。

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

市販のデータベースであるMEDLINEを中心にして、最近の医学研究論文を日米100編ずつ選択する。各論文ごとに、研究デザインの観点を評価する。まず、研究領域(基礎医学、臨床医学、疫学)別に1:3:1の割合で層化抽出する。
その観点とは1)タイプ(パラレル、クロスオーバ、逐次)、2)コントロール群の有無と適切性、3)ランダム化と盲験化、4)例数の設定根拠、5)過誤率の指定などからなる。
折笠と佐藤が独立にすべての評価を行い、最後に全員でその評価を再確認する。評価の正当性をいろいろの分野から正当化するために、佐藤助教授(疫学、研究方法論)、佐久間教授(臨床薬理)、柏井教授(臨床医学)を共同研究者とした。最終評価をパソコンのデータベースに入力し、研究領域別に集計を行う。結果は諸セミナー及び学会で発表する。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

柏井 昭良

自治医科大学

佐久間 昭

東京医科歯科大学

佐藤 俊哉

統計数理研究所