平成41992)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

4−共研−64

専門分類

7

研究課題名

血清総コレステロール値に関する遺伝因子、環境因子の疫学的研究−2世代にわたる疫学調査成績へのパス解析の適用−

フリガナ

代表者氏名

イソ ヒロヤス

磯 博康

ローマ字

所属機関

筑波大学

所属部局

社会医学系

職  名

講師

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

循環器疾患の重要な発症要因の一つである血清総コレステロール値の遺伝因子、環境因子に関してそれぞれ単独の検討は数多くあるが、両因子の検討を同時に行い、それらの寄与の大きさを比較検討した研究は数少ない。そこで、秋田農村における親子2世代にわたる循環器検診の成績を分析し、血清総コレステロール値に関与する遺伝因子、環境因子の寄与度を定量的に分析する。


【目的】 循環器疾患の重要な発症要因の一つである血清総コレステロール値の遺伝因子、環境因子に関してそれぞれ単独の検討は数多くあるが、両因子の検討を同時に行い、それらの寄与の大きさを比較検討した研究は数少ない。そこで、秋田農村における親子2世代にわたる循環器検診の成績を分析し、血清総コレステロール値に関与する遺伝因子、環境因子の寄与度を定量的に分析することを目的とした。
【方法】 秋田県一農村(人口7千人)において1963〜66年に循環器検診を受診した当時35〜49歳の男女の子供は四半世紀後の現在はほぼ同年齢に達している。そこで、子供の1989〜1992年の循環器検診成績を用いて、親子間で35〜49歳時の血清総コレステロール値を比較した。血清総コレステロール値の測定は米国のCenter for Disease Controlによって厳密な精度管理を受けており、2世代間の血清総コレステロール値は比較可能である。実の親子の同定は町の協力によって行った。
【結果及び考察】 子が男子で、父、母の三者とも血清総コレステロール値の測定を受けた141組について分析を行った。血清総コレステロール値の平均値(標準偏差)は子が186(33)mg/dl、父が157(32)mg/dl、母が155(31)mg/dlで子が、父母に比し約30mg/dl高値を示した(p<0.001)。
子、父、母の三者間で血清総コレステロール値の単相関をみたところ、子−父間はγ=0.27(p<0.001)、子−母間はγ=0.16(p=0.03) 、父−母間γ=0.16(p=0.03) で、子−父間の相関が比較的大きかった。
子が父母に比べて、血清総コレステロール値が高いのは、この25年間の食生活を中心とする生活環境の変化が寄与していると考えられる。また、親子間での血清総コレステロール値の相関は環境要因の他に遺伝要因の存在を示唆している。次年度は継続研究として、親子の同定数を増やし、パヌ降折を適用する計画である。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

秋田県一農村(人口7千人)において1963〜66年に循環器検診を受診した当時30〜59歳の男女の子供は四半世紀後の現在はほぼ同年齢に達しており、1989年〜1992年の循環器検診成績を用いて、親子間で同一年齢時の血清総コレステロール値を比較し得る。また、兄弟姉妹間の血清総コレステロール値の比較も併せて行い、パス解析等の統計的手法を用い、遺伝因子、環境因子の寄与度を定量的に分析する。実の親子兄弟姉妹の同定は町の協力によって行う。
本研究において、重要な点は(1)親子兄弟姉妹の正確な同定(2)適切な統計的手法の適用である。(1)の作業については、現在約200ペアの親子の同定が行われており、平成4年度でさらに200ペア増える見込みである。(2)の作業については統計数理研究所との共同により、パス解析等の統計的手法を適用し、適切かつ充分な考察を行う。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

駒澤 勉

統計数理研究所

山海 知子

筑波大学