平成252013)年度 共同利用登録実施報告書

 

課題番号

25−共研−11

分野分類

統計数理研究所内分野分類

h

主要研究分野分類

7

研究課題名

災害時意思決定モデルのための分析利用

フリガナ

代表者氏名

カンバラサキコ

神原咲子

ローマ字

Sakiko Kanbara

所属機関

高知県立大学

所属部局

看護学研究科

職  名

准教授

 

 

研究目的と成果の概要

本研究では、「減災リテラシー」を、『災害に対する危機を認識し、日頃から災害に関する知識を習得し、災害時に適格な判断の下に自らの安全を確保できる能力』であり、その属性は減災のために発揮できる「認識」、「知識」、「技術」であり、先行要件には「地域特性」と「個人特性」があり、帰結は「意思決定」した結果の「災害リスクの軽減」であり、それぞれの因子の抽出を試みた。
 概念の範囲が広い事から、コンテンツについて、看護の視点に焦点をあてることとし、東日本大震災で支援が長期化する中で、災害が被災地域に与えたインパクトを、地域健康福祉システムの観点から多面的に、特にシステム機能が停止しかつ外部救援が遅れた発災後1か月間の地域的特徴および災害の備えに活かすべき教訓、地域保健医療の再建にかかる中長期計画の策定状況と論点及び問題点について、関連資料の収集、インタビュー調査、ワークショップなどを通じて情報の集約・分析作業を行った。生活の場である避難所のプライマリヘルスケアや不衛生な生活環境を俯瞰した看護活動の重要性を明らかとなった。健康課題と看護活動は、給水、排泄、生活空間、食糧(栄養)、衛生管理、疾病、保健・医療サービスに関する行動別で分けることができた。これらは近年の日本の保健分野において、健康の安全保障を脅かすものとして平時から事前評価として確認しておくべき基本的な看護が資する概念である。
 そこで、来年度は過去の災害看護対応の研究論文や資料、国内外の既存の、政策文書、保健活動、UNISDRやWHOなどの健康危機管理に関するガイドライン統計などから広く看護が寄与している、あるいは寄与すべき課題を抽出する。すでに今までの研究蓄積において当該事項についての情報を蓄積しているが、最新の政策・研究動向を踏まえ比較・整理する予定である。
そして、過去の災害の被災者、看護職、長期支援者のインタビューに聞き取り調査を行い、抽出した課題の中で抽象的な描写などについて、実際に直面する課題を訪ね、具体的なパラメーターとしての適合性を確認したい。そして客観的に最終的な意思決定に至る過程を定量化を考案し、総合的に最も好ましい減災教育を考えるための基となる客観的な判断のプロセスとして明示していきたい。