平成142002)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

14−共研−2060

専門分類

8

研究課題名

文化計量のための基礎研究

フリガナ

代表者氏名

ムラカミ マサカツ

村上 征勝

ローマ字

Murakami Masakatu

所属機関

統計数理研究所

所属部局

領域統計研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

7 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

文章の計量分析、絵画の計量分析、考古学データの計量分析を中心に、文化を計量するための基礎研究
を行いながら、文化研究の新領域の開拓を試みることが本研究の目的である。
本年度の研究概要は以下の通りである。
[文章の計量分析]
三種類の古典文献の計量分析を行った。
?『源氏物語』の計量分析
『源氏物語』と同時期に成立した『うつほ物語』のデータベースを作成し、助動詞、助詞、副詞、
形容動詞、形容詞、名詞、動詞など、各品詞ごとに言葉の出現率を調べ、『源氏物語』と『うつ
ほ物語』の比較分析を行った。その結果この二つの物語は、ほぼ同時期に成立したのにもかかわ
らず、用いている言葉、特に副詞、形容動詞、助詞、形容詞にかなり差異があるという、興味深
い結果を得た。
?『法華経』の計量分析
『法華経』27巻の成立順序を研究するため、『法華経』および『法華経』の前後に成立した『八
千頌般若経』、『十地経』のサンスクリット語のデータベースを作成し、出現した言葉の頻度の観
点から、三経典の文章の比較分析を試み、『法華経』27巻の成立を推定するのに有効となる知見
を得た。
?井原西鶴の計量分析
西鶴作品の複数著作説を検討するため、西鶴散文作品のデータベースの作成を行った。今年度は、
『懐硯』、『日本永代蔵』、『色里三所世帯』、『武家義理物語』、『嵐無常物語』、『新可笑記』、『本
朝桜陰比事』の7作品のデータベースを作成し、すでに完成している10作品のデータベースと
併せて、基礎的な計量分析を行った。
[絵画の計量分析]
9人の浮世絵師の描く美人の顔の形の計量分析を試み、絵師の描き方の特徴を調べた。また東州斎写
楽の描く顔との比較分析も試みた。
[考古学データの計量分析]
いくつかの遺物や遺跡に関し、計量分析をどのように行うか検討した。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

・ 村上征勝(2002)「著者を探る 古文書の計量分析」,電子情報通信学会誌,Vol.85 No.3,158-161
・ 村上征勝(2002)「文化を計る ?『源氏物語』,古代寺院,浮世絵の計量分析?」,情報科学,22号,
1-10
・ 村上征勝(2002)「文章を計る ?新たな文献研究法?」,人工知能学会誌,Vol.17 No.3,331-334
・ 古瀬順一(2002)「島原地方の民謡」,宮崎大学教育文化学部紀要,人文科学6,41-70
・ 村上征勝(2002)「文化を計る ?文化計量学序説?」,朝倉書店,総頁146
・ 浅野晃,村上征勝 他(2003)「新編西鶴全集第三巻 ?自立語索引編」,勉誠出版,総頁2836
・ 金明哲,村上征勝,永田昌明,大津起夫,山西健司(2003)「言語と心理の統計」,岩波書店,総頁246

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

伊藤 瑞叡

立正大学

今西 祐一郎

九州大学

金 明哲

札幌学院大学

古瀬 順一

聖徳大学

中谷 英明

神戸学院大学

室城 秀之

白百合女子大学