平成101998)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

10−共研−47

専門分類

5

研究課題名

統計学と統計物理学の境界領域の研究

フリガナ

代表者氏名

イバ ユキト

伊庭 幸人

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

予測制御研究系

職  名

助手

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

ともに高次元の確率分布を扱う分野である統計学と統計物理学の境界領域を研究し、両者の技術及び思想の交流をはかる。


本年度の研究では、昨年度から継続して、格子たんぱくの設計 (Inverse Folding) 及び拡張アンサンブルモンテカルロの応用について研究した。本年度の成果としては、以下がある。
(1)格子たんぱくの設計にボルツマンマシンの学習方程式の類似である「デザイン方程式」を導入する方法について論文をまとめた。
(2)以前に提案した、格子たんぱく模型の熱平衡状態を計算するための手法(Multi-Self-Overlap Monte Carlo)について論文をまとめた。また、この手法をさまざまな配列のポリマーに適用することにより有用な物理的知見を得た。
(3)システムサイズを変数とするような拡張アンサンブル法(Multi-System-Size Monte Carlo)のスピングラスへの応用について論文をまとめた。
このほか、拡張アンサンブルを用いたマルコフ連鎖モンテカルロ法の今後の展望についてさまざまな有益な討論を行うことができた。また、本グループのメンバーが呼びかけて、基礎物理学研究所でモンテカルロ法の新展開に関する研究会を行うなどの活動も行われた。次年度以降は、統計学と統計物理学の境界領域一般から、モンテカルロ法の開発と応用に重点を移して、専門分野別もそれにあわせて変更して、継続する予定である。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Iba, Y., Chikenji, G. and Kikuchi, M., Simulation of Lattice Polymers with Multi-Self-Overlap Ensemble, J.Phys.Soc.Japan, 67, Oct. 1998, pp.3327-3330.
Iba, Y., Tokita, K. and Kikuchi, M., Design Equation: A Novel Approach to Heteropolymer Design, J.Phys.Soc.Japan, 67, Nov. 1998, pp.3985-3990.
Iba, Y., Simulation of Spin Glass with Multi-System-Size Ensemble, J.Phys.Soc.Japan, 68, Mar. 1999, pp.1057-1058.

千見寺浄慈、菊池誠、伊庭幸人 「格子ポリマー系の拡張アンサンブル・モンテカルロIII 日本物理学会 秋の分科会 (沖縄) (1998 9 27)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

昨年度は具体的な問題として、タンパク質の設計に関する問題を集中して研究した。この問題は高分子の統計物理に関する問題であると同時に、逆問題としてみたとき、統計学における最尤推定とも強い類似性を持っている。また、マルコフ連鎖モンテカルロ法の応用例としても興味深い問題である。今年度は、この問題をさらに研究するとともに、統計学と統計物理学の境界領域における新たな問題の発掘と提示を行いたい。本研究を遂行するにあたっては、境界領域としての性格上、統計数理研究所の研究者と統計物理の専門家との共同作業が不可欠である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

菊地 誠

大阪大学

千見寺 浄慈

大阪大学大学院

時田 恵一郎

大阪大学