平成172005)年度 共同利用登録実施報告書

 

課題番号

17−共研−9

専門分類

5

研究課題名

ハイブリッドモンテカルロ法の有効性の研究

フリガナ

代表者氏名

タカイシ テツヤ

高石 哲弥

ローマ字

Takaishi Tetsuya

所属機関

広島経済大学

所属部局

経済学部

職  名

助教授

所在地

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研究目的と成果の概要

ハイブリッドモンテカルロ法は分子動力学法とメトロポリス法の2つ
から成り立つ。分子動力学法ではハミルトン方程式を解く(積分する)ス
テップがあるが、一般には解析的に解くことができない。そのため近似的
に解く必要がある。近似によって誤差が生じるがこの誤差はメトロポリス
法で修正されるのでハイブリッドモンテカルロ法は誤差のない正確な手
法である。
 ハミルトン方程式を近似的に積分する手法には任意性がありさまざま
な方法が考えられる。一般によく利用されているのは最低次である2次の
リープフロッグ法である。高次の積分法は誤差が小さくなるが計算量が多
くなりトータルでは必ずしも有効であるとは限らない。現在実行されてい
る格子QCD計算では2次のリープフロッグ法が効率がよく、高次の積分
法はあまり利用されていない。
 最近、Omelyanらは2次の積分法でリープフロッグ法よりも誤差の小
さい積分法を発見した。この積分法は計算量がリープフロッグ法より2倍
あるためトータルでの有効性は実際に調べてみる必要がある。本研究では
Omelyanらの積分法をハイブリッドモンテカルロ法で利用し、どの程度
有効であるかを調べた。
 格子QCD計算においてOmelyanらの2次の積分法を調べたところ、
積分のステップサイズを3倍にすることができることがわかった。この積
分法は2倍の計算量が必要であるので、トータルで1.5倍ほど効率がよく
なることになる。
 また、Omelyanらの2次の積分法はさらにチューニングをすることが
可能あることがわかり、Omelyanらの提示したパラメータの値から少し
ずれた所に最適値があることがわかった。
 本研究の成果はPhysical Review E73(2006)036706にて発表されて
いる。