平成152003)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

15−共研−2014

専門分類

1

研究課題名

平面・球面・空間における円・球・ロッドのランダムな配置の研究

フリガナ

代表者氏名

イソカワ ユキナオ

磯川 幸直

ローマ字

Isokawa Yukinao

所属機関

鹿児島大学

所属部局

教育学部

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

研究テーマに関連して以下の3つの研究を行った。
(1)ロッドのランダム充填の研究。高さ無限大の正4角柱ロッド(切断面は辺の長さが1の正方形)を、X軸ま
たはY軸またはZ軸に平行に、ランダムに充填する。以前の共同研究において、辺の長さがaの立方体
におけるロッドの充填率は、aが大きくなるとき3/4に近づくことをモンテカルロシミュレーション
により示した。今年度の共同研究では、この事実を数学的に厳密に証明することに成功した。鍵になるア
イデアは、第1に充填のプロセスをMarkov連鎖により定式化すること、第2にそのMarkov連鎖から導か
れるKolmogorov方程式がaが無限大になるとき偏微分方程式で近似できることを示すこと、第3にその
偏微分方程式を連立常微分方程式に変換して解くこと、である。
(2)球面上を面積が互いに等しいn個の凸多角形に分割してできるすべてのネットワークのうちで、辺の長
さの和Lが最小になるネットワークを求める問題を研究した(この問題は、nが大きいときに球面のほ
ぼ一様な分割を行うアルゴリズムを作ることを目的としている)。これまでに知られている結果はただひ
とつだけで、n=4またはn=6またはn=12の場合に限られる。今回の共同研究により、現時点では
はなはだ部分的な解答しか得られていないものの、次の結果を得た。
(i)ネットワークに次数4以上の点Pがあり、その頂点に隣接するすべての頂点の次数が3であり、か
つ頂点Pのまわりに90度よりも大きな角が隣接して2つ以上あるならば、そのネットワークはLを最
小にしない。
(ii)ネットワークの形が角錐または角柱(球面上に射影した形)であるとき、それぞれ正角錐または正
角柱のときにLは最小となる。
(iii)n=5またはn=7のとき、正角柱のときにLは最小となる。
(3)球面上にn個の点をランダム(一様)に置き、それらを母点として球面をボロノイ分割する。このとき
できるどのようなネットワーク(平面グラフ)が、それぞれどのような確率でできるかを、100回のモン
テカルロシミュレーションにより研究した。その結果、
(i)n=7のとき、すべての頂点の次数が3であるネットワークは全部で5種類あるが、そのすべて
が実現できる。最も高い確率で実現するネットワークは5角柱である。
(ii)n=8のとき、すべての頂点の次数が3であるネットワークは全部で14種類あるが、そのうち1
種類だけが実現しないか、もしくは実現確率が非常に低い。それは切頭4面体である。一方、最も高い確
率で実現するネットワークは5角形4枚と4角形4枚からできる多面体(名称は不明)である。
(iii)n=9のとき、すべての頂点の次数が3であるネットワークは全部で50種類あるが、そのうち
1種類だけが実現しないか、もしくは実現確率が非常に低い。一方、最も高い確率で実現するネットワー
クは6角形1枚、5角形4枚と4角形4枚からできる多面体(名称は不明)である。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究(1)の結果は、
12th Workshop on Stochastic Geometry,Stereology and Image Analysis
(Prague,Czech Republic,August 25-29,2003)
において発表した(http://www.karlin.mff.cuni.cz/12thWorkshop/)。
なお論文は投稿中である。
研究(2)の結果は、
第57回形の科学シンポジウム
において発表予定である(http://wwwsoc.nii.ac.jp/form/)。
研究(2)の結果は、未発表である。

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

種村 正美

統計数理研究所