昭和621987)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

62−共研−52

専門分類

6

研究課題名

全球気象資料を用いた大気の長周期現象の統計的解析とその予測

フリガナ

代表者氏名

ノト マサユキ

能登 正之

ローマ字

所属機関

気象庁

所属部局

予報部

職  名

予報官

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

16 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

最近の異常天候の頻発は各種産業や社会活動にしばしば多大な影響を与えている。このため長期予報の精度向上に対する社会の要請は増大する一方である。これに対処するために,多変量・非定常時系列である気象データから,長期予報に重要な大気の長周期変動成分を取り出す手法の開発と,取り出された長周期現象の解析により大気大循環の変動の実態を把握して予報に役立てることを目的とする。


本年度は時系列データを用いて日本付近の500mb面の月平均気圧配置及び日本各地域の気温・降水量を予測する重回帰予測モデルを作成した。また自己回帰予測モデルについて基礎的な検討を行った。
(1)資料:解析データ(1951〜1980)には気象庁長期予報課の気候データベースを利用した。説明変数に用いた基礎的な変数は月平均500mb高度(北半球格子点値)及び月平均海面水温(全球格子点値)である。また,目的変数は日本各地域の地域平均月平均気温,同月降水量,及び北半球各格子点の月平均500mb高度である。500mb高度については,実際には北半球格子点高度の主成分分析して得られた主成分のスコアーを目的変数とした。なお,予測されたスコアーは固有ベクトルを使って高度場に逆変換される。
(2)方法:説明変数は北半球及び全球空間内の格子点群に定義される高相関領域内の加重平均500mb高度あるいは海面水温である。高相関領域は,各格子点における高度または海面水温と目的変数とのラグ相関について異なるモデル間のAIC並びに有意な相関係数の地理分布の連続性を考慮して定義した。説明変数はこれらの各高相関領域内の変数の加重平均値で,加重にはAICから計算される重み用いた。ラグ相関は1か月から11か月について検討した。
(3)解析結果:重回帰予報モデルの作成には統計数理研究所で開発されたTIMSAC−78の中のサブルーチンプログラムSUBSETを用いた。回帰式の有効性はAICにより推定した。気温・降水量の独立資料(冬季15例)による予測結果は,従来の方法による公式の予報結果に比べて良好であったが,さらに詳しい検証が必要である。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

昭和62年度全国長期予報技術検討会(昭和63年2月)
(昭和62年度全国長期予報技術検討資料,p.91〜104)


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究実施計画
研究内容(第2年度)
第1年度に引き続き,各季節ごとに日本の天候に影響をおよぼす大規摸擾乱の性質,移動およびその変化の特性を明らかにする。このため,多変量統計解析手法を用いて大気の変動特性を解析するとともに,予測手法の技術開発をおこなう。
協同研究の必要性
現在,長期予報技術は統計的手法によるところが大きい。統計数理に関する最新の技法およびその適用にあたっての知見(ノウハウ)を導入して,予測精度の向上を計るために協同研究を行なうことは,開発の効率性および社会の要求に応える緊急性に照らし必要である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

青木 孝

気象庁

赤池 弘次

統計数理研究所

荒畑 恵美子

統計数理研究所

石黒 真木夫

統計数理研究所

岡崎 卓

統計数理研究所

尾形 良彦

統計数理研究所

尾崎 統

統計数理研究所

鎌倉 稔成

中央大学

北川 源四郎

統計数理研究所

坂元 慶行

統計数理研究所

住 明正

東京大学

田中 康夫

気象庁

田辺 國士

統計数理研究所

田村 義保

統計数理研究所

土谷 隆

統計数理研究所