平成51993)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

5−共研−26

専門分類

3

研究課題名

全球気象海洋資料を用いた気象要素の階級別確率予測

フリガナ

代表者氏名

ユダ ケンイチ

湯田 憲一

ローマ字

所属機関

気象庁

所属部局

予報部

職  名

予報官

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

8 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

多変量解析等の手法により、過去数十年の気象、海洋などの観測資料を使い、月平均気象要素の階級別予測に確率を付加するための統計モデルを作成する。また、長期予報における確率表現の方法について統計科学的見地から検討を加え、今後の長期予報業務のための基礎資料とする。


長期予報で必要な月平均あるいは3か月平均気温を予測するための統計モデルの改善または新たな開発を行った。予測モデルは、統計数理研究所で開発された統計解析プログラムを基に作成した重回帰モデル、および長期予報課で開発した類似/反類似モデルである。
1.月平均気温の予想 予報作業で運用している重回帰モデルのいくつかの点を変更することにより、適中率を3〜4%程度向上させることができた。主な変更点は次の通りである。(1)このモデルの予測対象は日本の気温分布の主成分スコアであるが、これを年間を通してではなく、月別に計算した。(2)AICの上位5つの重回帰式を利用していたが、これをAICが最良の重回帰式のみとした。(3)説明変数としてはいくつかの北半球500hPa高度場の領域平均値を使うが、この領域の大きさを広げた。
2.3か月平均気温の予想 改良された前項の重回帰モデルを用いて3か月平均気温の予想を行った。以下のような4通りのモデルを試みたが、十分な精度は得られなかった。(1)1か月平均500hPa高度場 (2)3か月平均500hPa高度場 (3)1か月平均海面水温(20°S〜20°N)(4)3か月平均海面水温(20°S〜20°N)
また、予報作業で運用している類似/反類似モデル(東部熱帯赤道域の海面水温の時系列で類似年、反類似年を選択し、「低温」「平年並」「高温」の各ランクの出現確率を予測するモデル)では、冬平均気温や夏平均気温の精度がよく、特に冬の適中率は6割を越え、実用に耐えうる結果が得られた。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

・湯田憲一、藤川典久、千葉剛輝、小島直美
平成5年度 長期予報技術検討会資料(p21〜p35)気象庁予報部,平成6年2月

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

月平均気温の階級別予測に確率を付加するための統計モデルとしては、すでに類似/反類似モデルが一部実用化され長期予報で使われている。しかし、精度はまだ十分とはいえず、さらにモデルの改良を進める。また重回帰モデルを用いて確率値を付加する手法を開発する。さらに、既存のモデルに捕らわれることなく、新しい統計的予測技術を取り入れることも今後の精度向上には必要である。
一方、長期予報における確率表現の手法については、利用者側の立場に立った考察が重要であるとともに、統計科学的に厳密な議論を欠かすことはできない。
以上のような開発あるいは検討には、統計数理研究所で開発された統計解析プログラムの利用や、統計数理研究所の当共同研究参加者との協力が有効かつ必要である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

赤池 弘次

統計数理研究所

石黒 真木夫

統計数理研究所

上野 達雄

気象庁

尾形 良彦

統計数理研究所

北川 源四郎

統計数理研究所

田村 義保

統計数理研究所

渡辺 典昭

気象庁