平成61994)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

6−共研−97

専門分類

8

研究課題名

貝塚の計量分析に基づく縄文社会のムラ構造モデルの構築

フリガナ

代表者氏名

ウエキ タケシ

植木 武

ローマ字

所属機関

共立女子短期大学

所属部局

生活科学科

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

ミクロ的視野での研究が進展する孝古研究において、マクロ的視野に立つ斬新な研究を目指す。今までの研究で、縄文貝塚のデータベース作成が終了し、それをもとに、「ザ・縄文貝塚」標準モデルというものを仕上げた。このモデルは、レイメンにとり非常に面白いものであるが、専門家にとっては、物足りない。つまり、時期別のモデルが必要とされるのである。そこで縄文貝塚を3期に分け、それぞれの時期における標準モデルを作成したい。


縄文貝塚文化を、土器型式の出土頻度をもとに4期に分けたが、今年は、後者の繁栄期と衰退期の標準モデルを作成しようとした。ところが、繁栄期は良かったが、衰退期の単期遺跡があまりにも少なく、残念ながら作成することはできなかった。繁栄期は、データベースを検索しながら、立地場所、貝塚形態、貝性格、貝種、時期、土器型式、遺構、遺物(土製品、石製品、骨角器)、自然遺物(魚骨、鳥獣骨)をひろいあげ、典型と呼べる標準モデルを作成することができた。
次に、この貝塚分析シリーズの最後として、計量分析を行ってみた。ただし、ここでは、種々の理由から、従来の5期(早・前・中・後・晩)区分法を使うことにした。各時期の単期遺跡をひろい、その中から分析に利用できる貝塚を選択すると、早期は5、前期は4、中期は11、後期は8、晩期は0となった。
そこで、晩期を除き早期から後期までの28貝塚をもとに、経時的にどのような構造に分かれるか、数量化3類、主座標分析、クラスター分析を行ってみた。いろいろと組合せを変えて試みたが、なかなか見やすく分かれてくれず、そこで、早期と後期の計13貝塚に限り分析を行った。数量化3類では、それぞれ貝塚と魚骨、主座標分析では貝塚と魚骨を合成したものに、時期的にグループ化が見られる結果がでたが、クラスター分析では面白い結果は得られなかった。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

植木武・村上征勝 千葉県貝塚データベースの計量分析(6)−東京湾貝塚繁栄期と衰退期の標準モデル−統計数理研究所レポート62,統計数理研究所,1994年9月
植木武・村上征勝 千葉県貝塚データベースの計量分析(7)−縄文貝塚の計量分析−第8回考古学におけるパーソナルコンピュータ利用の現状8号pp.75-86,1995年3月


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

ある遺跡タイプ(ここでは貝塚)を基にデータベースを作成し、なるべく主観を混えずに標準モデルを作成するという前例を知らない。孝古領域においては、日本はもとより、外国でも皆無であると信ずる。まず、縄文貝塚モデルを作成しておけば、いずれ刺激を受て外国(特にニュージーランドとアメリカ)でもモデル作成が行われるであろうし、その時には、モデル同士の比較研究が可能となる。
データベースの作成から貴研究所のお世話になってきた。データベースからモデル作成上、ロス情報の処理等のアドバイスも受けてきた。貴研究所のコンピュータを始め、その他の機器の使用も許可願いたい。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

小杉 康

明治大学

後藤 和民

創価大学

杉山 秀広

群馬県教育委員会

村上 征勝

統計数理研究所