平成41992)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

4−共研−15

専門分類

1

研究課題名

多変量離散分布のもとでの主成分分析におけるノンパラメトリック検定法の有効性

フリガナ

代表者氏名

ウシザワ ケンジ

牛沢 賢二

ローマ字

所属機関

産能大学

所属部局

経営情報学部

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

これまでの共同研究により、多変量連続分布のもとでは、主成分分析の固有根の同等性を検定するノンパラメトリック法がどのような条件のもとで有効であるかが確かめられた。ひきつづき、多変量離散分布のもとで、その方法の利用可能性をシミュレーション実験により検討する。


現実的な問題では、しばしば(1,2,3,4,5)などの離散的な値をとる変数にもとづいた主成分分析を行うことがある。このような状況において、固有根の二標本問題、すなわち、2つの母集団から得られた標本に対して、各々主成分分析を行ったとき対応する固有根が等しいか否かを検討する方法とその有効性に関してシミュレーション研究を実施した。
同じ問題に対して、母集団分布として連続型の分布を仮定した場合には、等分散性を検定するためのノンパラメトリック法、Ansari-Bradley法の有効性が既に確かめられており、ここでの研究においても、まず、その方法の適用を試みた。しかしながら、各サンプルの主成分スコアを利用する我々の方法を離散分布の場合に適用するとき、同じ主成分スコアになるケースが数多く発生し、いわゆるtieの問題のため、一般的な順位だけを用いる方法では解決できないことが明かとなった。
今年度の研究では、以上のような状況の中でも適用可能な方法を検討し、その結果、等分散性を検定するための他の方法として提案されているMosesのRanklike検定法が有効であることがわかった。この方法は、サンプル全体をいくつかのサブグループに分割し、それぞれのグループで分散あるいは偏差平方和を求め、それらの値にもとづいて二標本位置検定問題に還元して解決しようとする方法である。
MosesのRanklike検定法の有効性を検証するために、(1)母集団特性(周辺分布や変数間の相関の大きさなど)、(2)変数の数、(3)サンプル数などの諸条件を変え、大規模なシミュレーション実験を実施した。その結果、母固有根が接近していない場合には非常によい結果が得られること、それはサンプル数が大きくなるとさらに正確になること、分析する変数の数には依存しないことなどが明かとなった。この方法のもう一つの利点としてサンプル数が大きいときは正規近似が可能なことも挙げられる。
今後の研究課題として、他のノンパラメトリック法の可能性も探ること、一標本問題の方法論とその有効性を研究することなどがある。なお、今年度の研究成果は第61回日本統計学会で発表予定である。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

牛沢:ある離散分布にもとづく主成分分析の二標本固有値問題に関するノンパラメトリック法
日本統計学会第61回大会、1993年7月

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究計画は以下のとおり。対称、非対称の多変量離散分布に従う乱数を物理乱数をベースに開発する。ノンパラメトリック検定法の連続型における方法論が離散型の場合でも適用可能か否かを大規模なシミュレーションにより確認する。
ここで検討するノンパラメトリック法の基礎理論は中心極限定理と関連しており、この分野の専門家である清水良一先生の参加を仰ぎ、また物理乱数の利用も不可欠である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

佐藤 義治

北海道大学

清水 良一

統計数理研究所

杉山 高一

中央大学