平成232011)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

23−共研−1004

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

4

研究課題名

混合ガウス分布モデルに基づく惑星探査機高速中性粒子データの分類・解析

フリガナ

代表者氏名

ナカノ シンヤ

中野 慎也

ローマ字

Nakano Shin'ya

所属機関

統計数理研究所

所属部局

モデリング研究系

職  名

助教

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

惑星探査機のデータには,様々なタイプのノイズが重畳しているが,膨大なデータの中から,多様なノイズパターンのそれぞれについて発生原因を同定するのは容易ではない.ノイズ特性をモデル化し,如何なる条件下でどのようなノイズが発生しやすいかということがわかれば,ノイズの発生原因同定に役立てることができ,将来の観測機器開発に役立てることができるほか,現在運用中の探査機をノイズが発生しにくいように運用するといったようなことも実現できる可能性がある.一方で,惑星探査の本来の目的から,新たな科学的知見を得ることも重要である.
本研究では,火星探査機Mars Expressに搭載されている高速中性粒子センサ Neutral Particle Imager (以下NPI)のノイズ特性,シグナル特性のモデル化,及びノイズ成分の抽出を行った.Mars ExpressのNPIセンサには32のチャネルが付いており,それぞれが別の方向から到来する中性粒子を観測している.しかし,ある特定のチャネルのデータのみに何らかのノイズが重畳し,そのチャネルだけが異常な値を示すという場合がある.そこで,32チャネルのデータに対して混合ガウス分布モデルを当てはめ,特定のチャネルが異常値を示している場合とそうでない場合とを分類した.さらに異常値の見られるデータを幾つかのパターンに類型化し,探査機の姿勢や空間的な位置などの諸条件が与えられたときに,どのようなパターンのデータが現れやすいかをモデル化した.その結果,衛星の特定のチャネルが太陽の方向を向いたときに現れやすいノイズのパターン,ある領域で観測を行っているときに現れるデータのパターンなどが明らかになった.
今後は,抽出されたノイズ・データパターンの結果を整理しながら,解析結果と探査機の姿勢や位置などの条件との比較研究をさらに進め,様々なノイズ・データパターンのそれぞれが現れる原因の解明につなげていきたい.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

学会発表等:
中野慎也, 二穴喜文, 「Mars Express高速中性粒子データにおけるノイズ・シグナル成分の分類と特性解析」, 日本地球惑星科学連合2011年大会, 千葉市, 2011年5月.
中野慎也,「火星探査機中性粒子データの分類とノイズ成分抽出」,統数研オープンハウス,2011年7月.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

二穴 喜文

Swedish Institute of Space Physics