平成31991)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

3−共研−9

専門分類

1

研究課題名

多変量確率分布の定量的近似

フリガナ

代表者氏名

マツナワ タダシ

松縄 規

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

統計基礎研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

多変量確率分布の近似に関し,小標本の場合にも適用可能な,定量的な誤差評価を可能にする,基礎的な理論の構築とそれらの応用の実施。


多変量分布の理論的近似問題はこれまでにも厖大な数の論文が多くの研究者によってなされてきた。しかし近似のための道具立てが不十分であったこともあって、そのほとんどが漸近展開による弱い意味での近似を扱ってきたとみなせる。このことから、より強い近似でしかも誤差の評価も可能な理論の建設が望まれて来た。
そこで本研究では小標本の場合にも適用できる定量的な誤差評価のための基礎的な理論研究を行った。このことを可能にするため研究代表者がこれまでに開発してきた全変動距離をK−L情報量で評価する方法での一様近似問題を扱った。この手法に関して必要となる基礎的な不等式は若干改良した。代表者は具体的な考察対象としてこれまでにも扱ったWishart分布の多変量正規分布による一様近似の改善を試みた。
また、本研究で用いた近似のための手法が今迄研究がほとんど行われていなかった逆ガウス分布についての強い意味での近似および誤差の評価を可能にすることに気がついたので、いくつかの近似分布を考え、関連する事項の解析および数値計算を行い、共名で研究発表を行った。代表者はこの発表の後、得られた結果が多変量分布の場合にも並行して成立することを予測した。しかし一変量の分布に対応する多変量分布がかならずしも明確に定義されていない事実を知った。
そこでこれを多変量分布の特定化の問題として捉え、いくつかの分布の導出に成功した。しかしながらそれらの分布間の近似問題は今後の課題として残った。この課題を究明するためには多変量分布に関する基本的な積分公式を作り出すことが必要であり現在継続して研究中である。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

T.Matsunawa and Y.Akimoto,Uniform Approximations to the Inverse Gaussian Distribution
Pacific Area Statistical Conference,Dec.1991

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

多変量確率分布の定量的な近似を行なうためにいくつかの有用な不等式を与える。ウイシヤート分布等の代表的な多変量分布の近似問題について,一様近似の誤差の限界を与える。このために必要となる多変量の情報量に関係するいくつかの積分の計算方法を考察する。近似の結果を評価するために関連する数値計算も併せて行なう。これらの事柄は従来の極限あるいは漸近的近似理論では取扱えないものである。この共通のテーマに関心をもつ所内外の研究者が協力して研究を推進することは共同研究の趣旨に沿うものと確信している。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

秋本 義久

姫路独協大学