平成222010)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

22−共研−2062

分野分類

統計数理研究所内分野分類

i

主要研究分野分類

7

研究課題名

森林成長予測のための多変量非線形回帰モデルによる密度管理図の再構築評価

フリガナ

代表者氏名

ヨシモト アツシ

吉本 敦

ローマ字

Yoshimoto, Atsushi

所属機関

統計数理研究所

所属部局

数理・推論研究系

職  名

教授

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 これまで森林計測・生態の分野では,林分の成長予測を行うものとして,1960年代に密度管理図という多変量非線形回帰モデルが開発され,平均樹高・胸高直径・材積及び密度の関係を表すものとして使用されていた.しかしながら,使用されている係数は当初収集されたデータに依存し,地域毎に固定されており,その結果,現実的に対象とする森林に対しての予測精度が悪く,モデル構造は単純であるものの,現在その使用は避けられている.本研究では,実際に収集される成長データを用いて変量非線形回帰モデルの推定を行うことにより,密度管理図の利用による森林成長予測の再評価を行うことにより,汎用性の高い成長モデルの構築を目的とした.
 林分密度管理図は基本的に林分内の林木の高さ(樹高)の情報,平均的な林木の材積(体積),時間の経過に伴い自然に腐ったりして枯死する本数の減少曲線を主要素としたモデルである.モデルの応用に際しては,その時点での林分ha当たりの林木の本数(立木本数)N,樹高Hを与えれば,平均的な一本当たりの材積 が計算されるように係数が地域に依存して決定されている.これまでは樹高の関数のみパラメータが再推定されてモデルの調整が行われていたが,本研究では一般化最小自乗法を用いて,まず樹高,材積,胸高直径それぞれに対する残差平方和の最小化を行い,次にそれらを共分散・分散行列により基準化された重み付き残差平方和の最小化により最終的な推定値の決定を行った.実際に試験林より収集したデータを用いて分析をした結果,これまでの樹高データのみの調整によるモデルより,遙かにデータに追随した予測値を与えるパラメータ値を得ることができることが分かった.すなわち,この手法を用いることによりこれまで使用が避けられていた密度管理図の再利用が可能になることが分かった.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

二宮 嘉行

九州大学

柳原 宏和

広島大学