平成91997)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

9−共研−44

専門分類

4

研究課題名

女性の自立意識調査における自由回答の分析法の研究

フリガナ

代表者氏名

タカクラ セツコ

高倉 節子

ローマ字

所属機関

東京国際大学

所属部局

人間社会学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

意識調査における自由回答の分析については、単語の出現頻度や、単語間の関連を対応分析を用いて行ったものなどがあるが、回答の意味するところを明確に図示するような分析には、未だ遠いものである。そこで、単語の分析の際に、品詞の種類や、否定・肯定の差異等をも含めた多重クロスの対応分析等を適用して、更にきめ細かな分析方法を探求していく。これにより、意識調査等における回答パタンのより精緻な把握、ひいては、事例研究への適用をも狙っていく。


本年度は、自由回答のテキスト型データの分析について、既に開発されているソフトの適用、及び、更なる改良・開発について、研究を進めた。
特に、SPAD.T(フランスで作成)の日本語用の開発が進められた。日本語の構造の特殊性から、先ず、「分かち書き」の問題を始め、ワードの区切り方、助詞の問題など、種々の複雑な過程を経ねばならず、欧米の言語に比し、日本語版テキスト型データ分析に関しては、かなりの変更が必要であった。
 ”女性の自立意識調査”結果の分析に関しては、昨年に引き続き自由回答分析の中、新たに、”自立についての感想”としての自由記述ー質問に対する回答ではなく、全く自由な感想の記述ーについての分析を試みた。
このように、質問が提示されていない場合には、自由回答の範域が一層広がり、キーワードの抽出と、これに対しての対応分析を用いた分類結果のみでは、回答状況の全体的把握には多少の無理があることもみられた。
今後、デキスト型データ解析に関しては、分析過程で、独自のプログラムにより、細かな関連性を組み入れるなど、未だ、多くの改良・開発の必要性を認識した。そして特に、日本語の場合、「分かち書き」などの前段階でよいソフトが少なく、かなりの処理費や事前作業を必要とするなど、実用化に向けて、解決すべき課題があることが認識された。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

村田 磨理子・他,自由回答の分析-幾つかの事例について,日本統計学会,1998年7月予定
高倉 節子・他,自由回答分析の諸問題-自立意識について,日本分類学会,1998年12月予定

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

具体的には、既に、一通りの分析を進めてきた”女性の自立意識調査”における自由回答のテキスト型データに基づいて、分析を試みる。昨年度に行った分析を、更に精密化し(単語について、品詞の種類、動詞の受動・能動の形態の差異、否定・肯定の差異、等の情報を取り入れ、分析の方法も、多重の対応分析等の種々の方法を適用)、回答の意味あいの全体的パタン、傾向を把握できるように、分析方法を探求していく。更に、他の事例研究等のデータにも適用し、今まで、分析者の勘に頼ったり、特定の技能によって行われてきた分析の一般化、客観化を試みる。このように、最適な分析方法を探求していくためには、貴研究所教官の協力がぜひ必要であり、大型計算機等の使用も必要となってくる。なお、分析を進めるに当たっては、電子メールを含むインターネット環境の活用により相互に情報交換を図り、データの共有化を計る。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

上松 由紀子

関東学院女子短期大学

大隅 昇

統計数理研究所

村田 磨理子

(財)統計情報研究開発センター