昭和621987)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

62−共研−81

専門分類

8

研究課題名

新しい政治社会動向を探る統計的アプローチに関する研究

フリガナ

代表者氏名

キョウゴク ジュンイチ

京極 純一

ローマ字

所属機関

千葉大学

所属部局

法経学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

14 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

意識調査や社会統計データを用い,政治社会現象を予知・予測する統計的方法の検討を行う。最近の有権者の意識と行動に現われている将来動向の徴候として,生活満足度の上昇によるいわゆる生活保守意識の台頭や,とりわけ若年世代に顕著な政治・社会に対する価値観の変化などがあることがわかった。(昭和61年度研究成果)
その内容については詳細な分析を必要としている。予想される近未来現象についても,いくつかの仮説を得ているが,これを統計的予知・予測法試案にしたてあげる検討作業を行いたい。


前年度(61年度)の研究では,最近の有権者の徴候として,生活満足度の上昇による生活保守意識の台頭や,若年世代に顕著な政治社会に対する価値観の変化が見られた。
本年度(62年度)は,その知見に基づき,有権者の意識の変化に焦点を当て,有権者の意識変化が日本の政治社会の近未来現象に対し,どの程度の予知・予測知識となりうるかを調査を介して検討した。調査対象は,東京都内の有権者400人。内容は,政治指導者のイメージや信頼度,また政治のあり方に対する有権者の意識などを主体とする。
調査結果の検討により明らかになったのは以下の通りである。
1.有権者にみられる特徴として,現状の政党を支持する者の減少など,既成の政治体制や制度に対する,あきらめや無関心が増加している。その意味では,有権者の政治ばなれは着実に進行しているが,他方では,一般論としての「政治がよくなること」や「暮らしに直結した政策がどのようになっていくか」などについては,大部分の有権者が強い関心をもっている。
2.有権者の政治イメージとしては,“政治指導者”の場合,「頼りにならない」,「ずるい」,「どん欲」など,マイナスイメージをもつ者が多く,現状の“政治”に対しても「不公平」とか「停滞」とかのイメージをもつ傾向が強い。しかし,有権者の意識の中に,国際社会を念頭においた,政治への“期待”や“あるべき姿”についての関心・期待が進んでいる。
以上のような政治意識の変化が,国際化や情報化などとどう対応して行くか,今後さらに詳細な検討を重ねる予定である。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

調査結果をなお検討の上,関連の学会誌・学会発表などで発表する予定である。


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

人々の意識と行動のデータ(「政治意識研究」調査,「国民性調査」やその他の社会データ,新聞社,行政等,各種機関の行う世論調査データ)からひき出した最近の有権者に現われている将来への徴候や,少数の有権者について行った意識調査によってわかった徴候の内容について,分析を続行すると同時に分析の事例研究を行う。一方,これら質的内容を観測可能な指標として数量化し,これを継時観測データ(上記データのうち,「国民性調査」や新聞社が定期的に行っている調査)に適用するとき,予想される近未来現象に対し,どの程度の予知・予測知識となりうるか,社会現象に関する既存の予知・予測法と比較して検討する。
統計数理研究所の電算施設や過去の集積データや研鑚度の高い研究方法の利用を得て,この問題に関する新しい展望を開きたい。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

飽戸 弘

東京大学

岡本 宏

明治学院大学

茅野 修

東京大学

加留部 清

(社)興論科学協会

岸川 茂

(社)興論科学協会

児島 和人

東京大学

駒澤 勉

統計数理研究所

鈴木 達三

帝京平成大学

谷口 哲一郎

(社)興論科学協会

林 知己夫

統計数理研究所

林 文

東洋英和女学院大学

広瀬 弘忠

東京女子大学

水野 欽司

大学入試センター