平成232011)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

23−共研−2031

分野分類

統計数理研究所内分野分類

d

主要研究分野分類

7

研究課題名

現代日本人の政治意識・行動に関するコウホート分析

フリガナ

代表者氏名

ミフネ ツヨシ

三船 毅

ローマ字

Tsuyoshi Mifune

所属機関

愛知学泉大学

所属部局

コミュニティ政策学部

職  名

准教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

21千円

研究参加者数

2 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

内外の先行研究から、日本における政治不信は先進国の中でも高い水準で推移し、1990年代中頃からはさらに上昇していると論じられてきた。しかしながら、日本における政治不信の長期的変動を究明した研究は管見の限りないのが現状である。本研究はこのような現状を踏まえて、1976年から2007年までの日本における政治不信の変動要因を、ベイズ型コウホートモデルによる分析から捉えることを目的とする。
 分析に用いたデータは、明るい選挙推進協会による2000年の衆議院選挙調査と、2001年と2007年の参議院選挙調査データ、および1976年のJABISSデータ、1983年のJESデータ、1993年〜1996年のJES2データ、2003年〜2005年のJES3データであり、全部で11時点のデータである。これらの調査における「国の政治は信頼できますか」という設問の否定的回答である「弱不信者」と「強不信者」、さらにその合計である「弱+強不審者」の割合を、男女別に分析を行った。
分析結果の概要としては、以下のことが掲げられる。政治不信の時代効果は政治事件・スキャンダル、支持率の低い政権期に高い。年齢効果は50歳台半ばを境にして低くなる。コウホート効果は1945年前後生まれを境として効果は高くなる。弱不信者では時代効果は小さく相対的にコウホート効果、年齢効果が大きい。強不信者は時代効果が大きく、相対的にコウホート効果、年齢効果が小さい。データの期間内における弱不信者と強不審者の割合は変化しており、弱不信者は40?50%へ、強不信者は10?30%へと増加している。これらの結果を、コウホートモデルの特質と政治不信の理論的構造を対照した文脈で解釈すると、日本では一過的な政治不信よりも民主政治システムに対する不信が進行していることを意味する。よって、コウホート効果の強い出生コウホートが社会の中心に移動していることを鑑みると、日本の政治不信は一過的な時代効果による政治不信の高まりだけでなく、その根底にはコウホート効果の影響が無視できない程度に大きくなってきていると考えられる。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

 本研究は2011年度日本選挙学会(2011年5月15日、関西学院大学)で「歴史経験の重層化による政治不信の蓄積」として報告した。本報告は、2011年度日本選挙学会賞優秀ポスター賞を受賞した。授賞式は2012年度日本選挙学会(2012年5月19日、筑波大学)で行われる。
学会の詳細と、報告論文は以下の日本選挙学会ホームページでみることができる。
http://www.jaesnet.org/archives/report-archives/

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

なし

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

中村 隆

統計数理研究所