平成21990)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

2−共研−50

専門分類

6

研究課題名

地球の力学的結合システムの設計

フリガナ

代表者氏名

ナイトウ イサオ

内藤 勲夫

ローマ字

所属機関

国立天文台

所属部局

水沢観測センター

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

1.大気による極運動励起線型モデルの設計。
本研究は昨年度の課題「大気励起関数を既知とした場合の極運動励起特性の検出法の開発」を受け継いだものである。
2.カルマン・フィルターによる時間軸の規格化とスムージングの方法の開発。大気・固体地球運動量輸送のTime Lagを求める。
3.EOF AnalysisにおけるMode数決定規準の方法の開発。
AR法におけるAICに相当する規準を考察する。


極運動及び自転速度変動などの地球回転変動は主に大気運動によって励起されている。大気運動と地球回転変動を既知量として地球内部のコアやプレート運動を未知量とする地球の角運動量保存式は一つの線型フィードバックシステムと見なすことができると言うのが本研究の出発点であった。石黒真木夫氏の協力のもとに,線型システムプログラムが完成し適当な入力データのもとに,プログラムのテストが行われ,プログラムが正常に動くことが確認された。現在,本格的な解析を行っている。
線型システムの設計と並行して,既知量である大気運動と地球回転変動の複素スペクトル解析を行い,線型フィードバックシステムに組み込まれる周波数帯の適用性を調べた。その結果,風の吹き寄せによる海水質量分布が既知量(入力)として必要であることが判明し,現在,その評価を行っている。
いずれにしても,現在時点では,まだ,統計数理手法に基づく成果が得られていないが,線型フィードバックシステム設計が実現可能であることは確認された。今後の成果に期待していただきたい。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

岡田格・内藤勲夫・安成哲三;季節内変動の時間スケールにおける地球の極運動の維持機構,日本気象学会秋季講演会


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

1.については,すでに,石黒真木夫氏との共同研究が軌道に乗り,本年度は,設計されたモデルの評価(角運動量収支決算)を行い,モデルの手直し等を行う。
2.は1の課題の精密化の過程で生じたもので,大気と固体地球間の運動量交換過程におけるTime Lagを求めることによって,海洋の力学的役割を検出するものである。これによって,海洋中の地球規模の波動の発見等が期待される。
3.は1の課題に派生して生じたもので,地球回転変動に効果を持つ地球上の大気圧の地理的分布をEOF Analysisでサーベイする場合に,最大Mode数(ARモデルのFPEに相当する)を決定する規準を考察しようとするもので,これによって,AICと同等の議論がEOF Analysisにも可能となるはずである。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

石黒 真木夫

統計数理研究所

北川 源四郎

統計数理研究所