平成41992)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

4−共研−5

専門分類

1

研究課題名

多変量尺度混合分布の漸近展開とその誤差評価

フリガナ

代表者氏名

シミズ リョウイチ

清水 良一

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

職  名

所長

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

多変量正規分布の尺度混合分布を正規分布のまわりで展開し、その誤差を評価する問題の一般論は清水、藤越が共同で、またそれぞれ独立に研究しある程度の成果を得ている。これらの結果を多変量解析で問題になる各種の標本分布の近似に利用できるよう改良すること。また、もっと一般の多変量分布についてその尺度混合分布の漸近展開を誤差評価を含めて明らかにすることが目的である。


Zは多変量正規分布φに従う確率ベクトル、対称な確率行列Sは非負定値でZとは独立であるとする。X=S1/2Zの分布Fを多変量正規分布の尺度混合であるという。統計理論で現われるSは多くの場合標本の大きさnに依存し、nが大きいときに定数行列(例えば単位行列I)に確率収束する。このような場合にはXの分布は正規分布N(0,I)で近似されると考えてよいであろう。
この近似の精度を上げるために、Xの分布を正規分布の回りで展開するなどの手段が考慮される。この研究ではXの分布の確率密度f(x)を正規分布のそれφ(x)の回りで展開して、それを有限(最初のk項まで)のところで打ち切った場合の誤差をL1-normで評価することに成功した。φk (x)={1+ Σ 1/2J j! E(δx t (S-I) δx )j}φ(x) とおく。ただし、δxは微分演算子(δ/ δX1,…,δ/ δx p ) t を表す。Xの分布はf(x)=E{\S\ -1/2φ(S-1/2x)}で与えられる確率密度を持ち、\f(x)- φk (x) \dx≦C k,p Etr(S-I)k が成り立つ。ただし、Ck,pはある簡単な漸化式で定まる定数であるが特に C2,p=0.35008+0.11710・(p-1), 確率1 でS-I>0 のとき、C2,p=2.0000+0.51826・(p-1), 一般の場合である。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

R.Shimizu Expansion of the Scale Mixture of the Multivariate Normal distribution with Error Bound in L1-Norm,

清水良一、多変量正規混合分布の漸近展開、日本数学会、平成5年3月

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

Zは多変量正規分布Φに従う確率ベクトル、対象な確率行列Σは非負定値でZとは独立であるとする。X=Σ1/2Zの分布Fを多変量正規分布の尺度混合であるという。Σが単位行列Iに近いとき、FをΦのまわりで展開し、それを有限の項で打ち切ったときの誤差を評価することが出来る。この展開は分布Fの近似に使えることが期待される。
この研究ではこの近似法の有効性、実用性について検討する。とくに確率1でΣ>Iが成り立つ場合には十分に良い結果が期待されるがこの条件が成り立たないときの誤差評価の有効性はまったく分かっていない。その点を明らかにし必要な改良を行うこと、さらに正規分布以外の尺度混合についての研究を進めたい。これまで、相異なる観点から研究を行ってきた清水、藤越の共同作業が有効であると考えられる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

藤越 康祝

広島大学