平成111999)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

11−共研−2053

専門分類

7

研究課題名

真核細胞におけるリボソーム蛋白種の多様化と進化

フリガナ

代表者氏名

ワダ アキラ

和田 明

ローマ字

Wada Akira

所属機関

大阪医科大学

所属部局

医学部

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

9 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

本研究の目的は、「真核生物の進化の比較的早い時期に分岐したと考えられる原生生物群のリボソ
ーム蛋白種の生化学的解析を行ない、その結果得られたデータを、統計学的・分子進化学的手法を用
いて解析することにより、真核細胞におけるリボソーム蛋白種の多様化と進化の過程を解明する」こ
とである。
 本年度は、Diplomonads に属する Giardia lamblia,Palabasalids に属する Trichomonas vaginalis,
Entamoebidae に属する Entamoeba histolytica,および現時点での分類群が不明確なアメーバ
Mastigamoeba balamuthi を対象とし、とくに後2者については、条件検討を中心とする予備的な実験
を行なった。これらの生物種を大量培養し、リボソームを精製後、蛋白質の分画を得た。2次元電気
泳動によりその分画を分離し、パターンを他の真核生物(ラット)や原核生物(大腸菌)のそれと比較し
た。また、G.lamblia および T.vaginalis の一部の蛋白種については、N末端のアミノ酸配列解析を行
なった。さらに、G.lamblia のゲノムプロジェクトデータベースを検索し、全てのリボソーム蛋白種
のデータを取得して他の生物種の相同配列データとともにアライメントした。その結果、現在まで
に、(1)リボソームの沈降係数は、G.lamblia,T.vaginalis のいずれにおいても通常の真核生物のそれ
(80S)よりも小さく、原核生物(大腸菌)のそれよりは大きい、(2)これらいずれのリボソーム蛋白種も
2次元電気泳動のデータからみる限り、スポット数、泳動パターンともに明らかに通常の真核生物型
のものに近い、(3)G.lamblia で配列既知の蛋白種の全てが例外なく、通常の真核生物型のアライメン
トパターンを示す、などの知見を得た。
 一方、2次元電気泳動のパターン間の相互比較のための定量化の方法についても検討を行なった。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Shirakura,T.,Maki,Y.,Yoshida,H.,Arisue,N.,Wada,A.,Sanchez,L.B.,Nakamura,F.,Muller,M.and
Hashimoto,T.(2000)Characterization of the ribosomal proteins of the amitochondriate protist,Giardia
lamblia.Molecular and Biochemical Parasitology,submitted.
有末伸子,牧泰史,吉田秀司,和田明,橋本哲男(1999)ミトコンドリアをもたない真核生物
 Trichomonas vaginalis の70S型リボソームの性質とその構成蛋白の解析。第22回日本分子生物学会
 年会,福岡。
有末伸子,牧泰史,吉田秀司,和田明,橋本哲男(2000)ミトコンドリアをもたない原虫 Giardia lamblia
 と Trichomonas vaginlis のリボソームの性質とその構成蛋白の分析。第69回日本寄生虫学会大会,
 松江。
 全リボソーム蛋白種を対象としたアライメントの作業も継続的に行なっており、99年9月の時点で
101蛋白種に関する解析データを試験的に公開した(http://www.ism.ac.jp/~hasimoto/rp.html)。現在、改
訂の作業を行っている。

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

有末 伸子

総合研究大学院大学

内田 雅之

統計数理研究所

Sanchez Lidya B.

ロックフェラー大学

白倉 哲郎

昭和大学

橋本 哲男

統計数理研究所

牧 泰史

大阪医科大学

Muller Miklos

ロックフェラー大学

吉田 秀司

大阪医科大学