平成31991)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

3−共研−88

専門分類

7

研究課題名

臨床研究における生物統計手法の開発と応用

フリガナ

代表者氏名

サトウ トシヤ

佐藤 俊哉

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

領域統計研究系

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

6 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

本研究は,単にデータ解析を行うための方法を提案するのではなく,臨床研究を実施するうえで必要な,効率のよいデザイン,適切なデータ収集の方法,得られたデータの質を保証するための品質管理,そしてデザインから導かれるデータ解析の方法に関して基礎的な研究を行うことを目的とする。


臨床研究は様々な問題を扱うのが特徴であり、目的に応じて解析の方法もバラエティに富んでいる。今年度は、1992年2月24日に研究討論会を開催し、それぞれの共同研究者が扱っている臨床研究における問題点に関してディスカッションを行った。テーマは以下の通りである。
佐藤俊哉「Confounding and Covariate Adjustment」:疫学研究を実施する上で中心的な概念であるConfoundingについて、最近の研究の紹介を行うとともに、ランダム化臨床比較試験の場合にConfounding Factorをどう調整すべきか、についてのrecommendationを行った。
椿広計「質的変数を含む主成分分析について」:臨床研究では測定すべき項目に、量的なものと質的なものが混在する場合がほとんどである。そのような場合に主成分分析を用いてデータの要約を行う際、主成分の寄与率を挙げるテクニックが紹介され、結果として得られた主成分の意味、解釈上の注意などが議論された。
椿美智子「成分データにおける相関係数に関する考察」:測定されている項目の合計が各観察単位で一定であるようなデータ(例えば観察単位ごとの百分率のように)を成分データという。このようなデータについて通常の相関係数を計算しても、実質的な解釈は困難であり、また通常の相関係数のごとく解釈を行うことの危険性が指摘された。成分データでの「相関係数がゼロ」という仮説検定の方法が与えられ、成分データでの相関の定義などが議論された。
高木廣文「血液検査データの外れ値について考える」:高木は実施している生活習慣調査の一部として調べられている血清化学検査値について、主成分分析を用いた多変量外れ値の検出結果と、通常行われている血清化学データの対数変換と外れ値の検出、について報告があった。
駒澤勉「数量化III類による順序尺度データ分析と健康診断反応」:数量化を用いた順序尺度データの解析について、軸の意味づけ、順序性の評価方法が紹介され、検診データへの応用例が示された。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

臨床研究において実験計画法の応用は臨床比較試験として早くから導入されたが,我が国では臨床データの品質保証,品質管理という考え方は希薄である。このように工業・農業の分野で開発され成功してきた統計手法の多くが医学研究でも利用可能だと思われるが,現実の臨床の場合に合った改良が応用の際必要なことは明らかである。また臨床研究特有の問題には,新しい統計手法を開発しなければならないので,統計数理研究所との共同研究が必要である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

駒澤 勉

統計数理研究所

高木 廣文

統計数理研究所

椿 広計

筑波大学

椿 美智子

電気通信大学

松本 清彦

総合研究大学院大学大学院