平成101998)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

10−共研−89

専門分類

8

研究課題名

年齢・コウホート効果を補正した所得・価格弾力性の計測

フリガナ

代表者氏名

ナカムラ タカシ

中村 隆

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

調査実験解析研究系

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

6 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

これまでわが国の食糧需要の計量分析において、年齢要因が考慮されることはほとんどなかった。本研究では、「家計調査」で世帯主年齢階級別の情報がえられる1979年までさかのぼり、世帯員個々の年齢階層別の消費を推計し、これにベイズ型コウホートモデルを適用することによって、加齢・コウホート・トレンドの効果を析出する。その上で、トレンドを生みだした所得・価格の作用を分析する。


これまでわが国の食糧需要の計量分析において、年齢要因が考慮されることはほとんどなかった。本研究の目的は、『家計調査』で世帯主年齢階級別の情報がえられる1979年までさかのぼり、ベイズ型コウホートモデルを適用することによって加齢・コウホート・時代効果を析出、これにより世帯員個々の年齢階層別の消費を推計し、最終的には食糧需要に対する所得・価格の作用を分析することである。
本年度は、6月(統数研)、8月(福岡)、12月(統数研)、1月(統数研)に会合を開き、各共同研究者がすすめている研究内容の発表の機会をもった。各会合には、共同研究者以外へも参加を呼びかけ、関心のある総理府や事業団関係の研究者の多数の参加を得た。
家計調査データは世帯単位の集計データであり、個人単位の集計データが対象であるコウホート分析を直接適用するには問題がある。各調査年次の個票にアクセスできれば、ある種の回帰モデルを用いて個人単位の消費を推計し、それらに基づいてコウホート分析を行なうことが可能である。ただし、多年次にわたる個票データから多くの食糧項目についてこのような推計するのは膨大な作業が必要とされる。
そこで、世帯主年齢別の世帯員年齢構成データを介することにより、各年次の世帯単位の集計データに対してコウホート分析が適用できるようなモデルを新たに開発した。いくつかの食糧項目(牛肉、豚肉、鶏肉、牛乳、卵、うるち米、パン、ビール、清酒など)に適用し、一部個票データの利用が可能だったものについて分析した結果との比較検討も行なった。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

中村 隆:世帯主年齢別データのコウホート分析,統計数理研究所平成10年度研究発表
会,1999年3月17日。
中村 隆・森 宏・石橋喜美子:世帯主年齢別データのコウホート分析,第67回日本統
計学会大会,1999年7月(発表予定)。

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

森・石橋他は「家計調査」の年報および個票を用い、世帯員個々の年齢階層別の消費推計に成果をあげつつある。そこで、(1)得られた推計結果にベイズ型コウホートモデルを適用して、わが国の食料消費の時系列変化における加齢・コウホート・トレンド効果などを推定する。(2)その上でトレンドを生んだ要因のうち、所得および価格の効果を計測する。加齢・コウホート効果を補正した上で純粋に経済的要因を分離する作業はわが国経済界では未開拓な分野であり、方法論の面で統数研の研究者の協力が不可欠である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

石橋 喜美子

農林水産省農業総合研究所

稲葉 敏夫

早稲田大学

川口 雅正

九州大学

田中 正光

日本リサーチ総合研究所

森 宏

専修大学