平成142002)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

14−共研−2021

専門分類

2

研究課題名

局所モーメント情報に基づく統計解析法

フリガナ

代表者氏名

サガエ マサヒコ

寒河江 雅彦

ローマ字

SAGAE MASAHIKO

所属機関

岐阜大学

所属部局

工学部

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

10 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

1.研究の目的
 局所モーメントとは、データの定義域を複数の区間に分割した時にその各区間毎のデータにおける標本モーメント情報で
ある。例えば、0次の標本モーメントは各区間の度数であり、1次標本モーメントは区間内の標本平均となる。
 このようなデータ集約化は統計的な資料、データベース等で最も簡単な集計方法である。しかし、現状ではこのような局所
統計情報を用いた統計モデルや推定法(局所尤度法、局所モーメント法)の研究はあまり進展していない。
 本研究ではこのような集約型データに基づいた統計モデルの開発とその推定法について、理論的な研究とともに実用的
な統計モデルを開発することを目的としている。
掲題の研究に関連してこれまでに局所モーメント法の提案(Sagae and Scott,1997a),局所モーメント法を用いた密度関数の
推定(Sagae and Scott,1997a,1997b)や(Sagae and Kogure,2000)での理論的な成果を踏まえて、効率的な共同研究を実施
する。
2.成果の概要
 本共同研究では、研究集会の開催による情報交換と共同研究に基づいた研究成果の2つとなる。
2.1 共同研究に基づいた研究成果
 ここでの番号はその2に記した本研究による成果の番号に対応する。下記参照のこと。
 1)局所モーメント情報を統計データの集約法として提案した内容である。従来は多くの統計データの集計法としていく
つかに分割した区間ごとの集計による度数集約化が中心であった。しかし、この集約情報だけでは標本の平均値
や分散すら正確にはもとまらない。そこで本論文ではそのような基本的な統計量を保存しつつ、集約化可能な方法
を提案している。
 2)局所モーメント法も用いたノンパラメトリック確率密度推定に関する本研究代表者の一連の論文に基づいた総合報
告を統計学会国際招待講演の韓国セッションにて講演した。
 3)ヒストグラム推定や度数データではしばしばいくつかのパーセンタイルで分割したデータが見かけられる。しかし、単
純にこのデータにヒストグラムを当てはめた場合、理論的にはバイアスが非常に大きくなることがわかる。実務家はそ
の性質を知らないことが多く、本論文でその警鐘をあたえている。この理論的な悪さは正規母集団からのデータで
あっても同様である。そこでこの大きなバイアスを防ぐためにビン型カーネル密度推定を提案し、バイアスの補正が
なされる可能性を議論した。
 4)ヒストグラムを改良する単純な方法として区分的線形関数を用いた確率密度推定が提案されている。この推定量を
さらに改良し、また、バイアスと分散の挙動を解析するためにビン節点パラメータを導入した新しい区分的線形確率
密度推定を提案し、その漸近的性質と平均二乗誤差、バイアス、分散を最適にするビン節点の位置を推定した。
2.2 研究集会の開催による情報交換
 本共同研究の一貫として、第五回目の研究集会「ノンパラメトリック統計モデルと平滑化法」を開催した。本テーマに関
連した定例の研究集会として本研究の助成のもとで実施した。2日間の討論で12件の講演が行われ、活発な意見交換と議
論が行われた。このテーマに関連した第一線の研究者が一同に集まる機会としては大変貴重な機会であり、多くの研究者
から同様な意見を頂いていることを記しておきます。講演内容の詳細とプログラムは別添資料を参照のこと。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

1.研究成果(研究代表者に関連した成果のみ)
1)Sagae,Masahiko,Data Aggregation:How should aggregate data,samples and observations ?,preprint
series,Department of Statistics,Yale University,2002.
2)Sagae,Masahiko,Nonparametric density estimation by the method of local moments,Korean session in
International Invited Session,Japan Statistical meetings,2002.
3)Kogure Atsuyuki and Sagae,Masahiko,Density Estimation with Percentiles,Seminar of department of
Statistics,Yale University.
4)山本けい子、寒河江雅彦,A Piecewise Linear Nonparametric Density Estimation with the Location
Parameter of Bin Knots,ISM cooperative research report,2003.
2.研究集会
 ノンパラメトリック統計モデルと平滑化法に関する研究集会を3月28、29日に統計数理研究所に
て開催した。プログラムは参照のこと。

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

荒木 由布子

九州大学大学院

奥村 英則

中国短期大学

竹澤 邦夫

中央法行総合研究センター

田邊 國士

統計数理研究所

中村 永友

札幌学院大学

西山 慶彦

京都大学

水野 眞治

東京工業大学

山本 けい子

岐阜大学

吉澤 真太郎

University Wurzburg