平成クオ1989)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

クオ−共研−90

専門分類

8

研究課題名

著者推定の数理統計学的研究−日蓮の三大秘法禀承事の真偽判定−

フリガナ

代表者氏名

ムラカミ マサカツ

村上 征勝

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

領域統計研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

11 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

本研究の目的は,これまで数量的なとり扱いがほとんどなされていない。著作の真偽判定や著者の推定という,いわゆる“著者推定の問題”に対し,文体に関する数量的な情報を利用した数理統計学的解析法を確立し,文献学,書誌学の研究に新領域を開拓することにある。具体的には,現下の文献学的レベルにおいて真偽未決とされているが,しかし日蓮の実践的な仏教思想を理解する上で極めて重要な文献である『三大秘法禀承事』の真偽判定問題をとりあげその結論導出を試みる。


本研究は日蓮の著作かどうか疑問が持たれている『三大秘法禀承事』の真偽判定を統計的な手法によって行うことを目的としているが,本年度は,次の二点を中心に研究を進めた。
1.統計分析には日蓮の著作24編を含め和文体,漢文体,和漢混合体の計50編の文献を用いているが,日蓮の文体の特徴を把握するに当り,まずこれら三種類の文体の基本的な違いを把握しておく必要がある。そこで,まず品詞の使用率及び品詞の接続関係の観点から和文体,漢文体,和漢混合体の文体の違いを統計的に分析した。
2.日蓮の文体の特徴の中で,経年変化(加齢に伴う変化)が見られる特徴について分析した。特に,佐渡渡罪以後の思想の変化と文体の変化との関係について,主として品詞の使用率を中心に分析した。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

1.村上征勝,岸野洋久:「文献の計量分析」日本統計学会(1989年7月)
2.村上征勝,岸野洋久:「文体の分類」分類の理論と応用に関する研究会(1989年12月)
3.村上征勝,岸野洋久:「品詞の使用率からみた和文体・漢文体の特徴」文献情報のデータベースとその利用に関する研究会(1990年3月)
4.村上征勝,岸野洋久,伊藤瑞叡:「日蓮遺文の計量分析−思想の変化と文体の変化−」文献情報のデータベースとその利用に関する研究会(1990年3月)


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

前年度までにデータ(約17万語)の修正が一応終了したので,今年度は,入力した50編の文献の本格的な計量分析に入り,『三大秘法禀承事』の真偽判定問題に結論を出す予定である。
なおこの研究はその性質上,仏教学,言語学,心理学等の専門知識が必要であり,したがって統計学の研究者を中心に,これらの分野の研究者と協力して研究を進めることが不可決である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

伊藤 瑞叡

立正大学

江川 清

国立国語研究所

春日 正三

立正大学

樺島 忠夫

 

岸野 洋久

東京大学

古瀬 順一

群馬大学

藤本 煕

明星大学

安本 美典

産能大学

山元 周行

 

米田 正人

国立国語研究所