平成51993)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

5−共研−80

専門分類

7

研究課題名

生存率解析におけるハザ−ド関数の推定

フリガナ

代表者氏名

オオタキ メグ

大瀧 慈

ローマ字

所属機関

広島大学

所属部局

原爆放射能医学研究所

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

生存率解析においてハザード関数を推測する方法についての研究は、カプランマイヤー法やパラメトリックモデルによるものを例外として見当たらない。
我々はこの研究で、ハザード関数を折れ線やスプライン関数で表現し、データ解析への適用のための推測理論、コンピュータ・アルゴリズム、ソフトウェアを開発することを目的とする。


n個の生存時間および観察途中打ち切り時間はともに独立な確率変数であり、それぞれ、 X1,X2,・・・,Xn;C1,C2,・・・,Cnと表現されているものとする。そして、実際にはYi=min{Xi,Ci},i=1,...,n,が観察されるものとする。そこでy1≦y2≦...≦ynを順序付けられた観察時間データとしδi=I(X(i)≦C(i))はi番目の個体に関する観察終了事由を表す指標であるとする。生存時間の分布に関する生存率関数をS、ハザード関数hとするとき、データ{(yi, δi)\i=1,...,n}に基づく対数尤度はLL=Σ δi logh(yi)+logS(yi)のように表現できる。
本研究では、ハザード関数hがR2上の点集合{(γj,λj)\j=0,...,k,ただしγ0=0<γ1<...<γk =yn}を結節点とする折れ線であると仮定し、i∈Kj={i\yi∈(γj-1,γj)}であるとき、以下の表現を導いた。
h(yi)=(γj−yi)/(γj−γj-1)×λj-1+(yi−γj-1)/(γj−γj-1)×λj logS(yi)=−{Σ(λm-1+λm)/2×(γm−γm-1)+(λj-1+h(yi))/2×(yi−γj-1)}
上記のモデルにおいて、我々は、(母数γj,0≦j≦k,が与えられているものとして、)λj,0≦j≦k,を最尤法により推定するための アルゴリズムを開発した。本方法は胃癌患者における手術時点からの胃癌の肝臓での再発に関するデータに適用してハザード関数の推定を試み、有用な臨床的知見を得た。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Hashimoto,T.,Ohtaki,M.,Ueoka,H.,Munaka,M.,Kuramoto,A.,and Kamada,N.,Estimation of chronic phase duration in Ph positive chronic myelocytic leukemia treated with Busulfan:statistical analysis on Japanese patients,International Journal of Hematology,in press
田中 卓,西山正彦,佐藤幸雄,頼島 敬,吉田和弘,峠 哲哉,再発形式からみた胃がんの生存時間解析,癌の生存時間研究会誌,13巻,1993 年11月

大瀧 慈,田中 卓,折れ線モデルの適用による生存時間解析におけるハザードの推定,日本統計学会,1993年7月
田中 卓,大瀧 慈,西山正彦,峠 哲哉,折れ線スプラインを用いたハザード関数推定とその臨床生存時間データへの応用,癌の生存時間研究会,1993年11月

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

まず、ハザード関数として適当な結節点を仮定したうえでの折れ線を仮定し、結節点でのハザードの高さの推定を行なうための最尤法による理論構築を行なう。さらに、そのコンピュータ・アルゴリズムおよびソフトウェアの開発を行なう。
その結果得られた推測方法に対しては、統計数理研究所の乱数発生機を利用したシミュレーション実験により有効性を検証するとともに、白血病、胃癌などの実データへの適用も試みる。
さらに、ハザード関数として高次のスプライン関数を仮定した場合についても同様の研究を行なう。シミュレーション実験に伴なう大規模計算を能率的に行なうために、統計数理研究所との共同研究体制が望まれる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

金藤 浩司

統計数理研究所

田中 卓

広島大学

橋本 哲男

統計数理研究所