平成21（2009）年度　共同研究集会実施報告書

課題番号	21−共研−5004		分野分類			統計数理研究所内分野分類			e
						主要研究分野分類			2
研究課題名	経済物理学とその周辺
フリガナ 代表者氏名	タナカ　ミエコ 田中　美栄子				ローマ字		Mieko Tanaka
所属機関	鳥取大学
所属部局	大学院・工学研究科・情報エレクトロニクス専攻・知能情報工学講座
職　　名	教授
配分経費	研究費	0千円		旅　費		0千円		研究参加者数		31　人

研究目的と成果（経過）の概要

【研究目的】
大規模経済情報に関するデータベースの蓄積が進んできた結果、これまで測定できなかったため推測の域を出なかった経済活動に関するデータに基づいた分析が可能となってきている。更に、データの背後に横たわる物理過程を考慮したデータ分析を行うための、物理的観点からのモデル化と実証分析を行う「経済物理学」と呼ばれる分野が形成されつつある。本研究集会では、経済物理学とその周辺分野の研究者の分野横断的交流を通じて、異分野間で得られつつある研究に関する知見の情報交換と共同研究体制の醸造を目的として開催を行っている。

【成果（経過）】
本年度は2009年9月8日〜9日に京都大学基礎物理学研究所に於いて、“経済物理2009”として第１回研究集会を行い，また，2010年3月８−９日に統計数理研究所立川キャンパスで第２回研究集会を開催した。のべ参加者数はあわせて100名を越え、統計・経済・物理・情報の緩やかな連携による分野横断的な研究者や実務家の参加があった。

【プログラム抜粋】
１）統数研・共同研究集会「経済物理学とその周辺」H21第1回研究集会

「経済物理2009」として京都大学基礎物理学研究所で9/8-9に開催し，内容は以下の２冊子に掲載されている．

1.　素粒子論研究（京都大学基礎物理学研究所）117巻-5（E1〜132,35-60）（2009年12月）
2.　物性研究（京都大学基礎物理学研究所）93巻-5（2010年2月）

２）統数研・共同研究集会「経済物理学とその周辺」H21第2回研究集会プログラム
3/8-9　統数研立川キャンパス（3階の講堂（D305)）
3月8日（月）
Session 1 (10:00-11:30)　座長：田中　美栄子（鳥取大院工）
1)　株価・為替レート時系列のパターン・エントロピーによる解析：石崎　龍二（福岡県立大）
2)　外国為替市場におけるゆらぎのスケーリング：実測と理論：佐藤　彰洋（京大院情報）他
3)　企業サイズ成長率分布の中額領域に観られる第１非ジブラ則と第２非ジブラ則：石川　温（金沢学院大）, 藤本　祥二（金沢学院大）, 水野　貴之（一橋大）

Session 2 (12:30-14:00) 座長：佐藤彰洋（京大院情報）
4)　ハイブリッドモンテカルロ法によるSVモデルの推定方法：高石　哲弥（広島経済大）
5)　日中株価相関行列とランダム行列理論式の一考察：田中　美栄子（鳥取大）
6)　異時刻相関に対するランダム行列理論を用いた分析：水野　貴之（一橋大）他

Session3 (14:30-16:30) 座長：家富　洋（新潟大理）
7)　ランダム行列理論を用いた気象データの 解析：モード間相関の抽出：安本典生（新潟大），
8)　相関行列のスペクトル分解による主成分の判定：村上　和正（新潟大），他
9)　企業間取引ネットワークに対する物理的可視化モデ ルとコミュニティ安定性の対応
　　　飯野　隆史（新潟大院院自然），家富　洋（新潟大理）
10）鉄道のスケジューリング問題の力学的，電気回路的モデル化：浅見雅之（鉄道総合研究所）
11)人工市場を用いた空売り規制の有効性検証：八木勲（東工大）他
3月9日（火）
Session 4 (10:00-11:30)　座長：石川　温（金沢学院大）
12)　ポテンシャルを利用した株式売買の検討：下浦　一宏 ( ＮＰＯ法人科学カフェ京都 )
13)　ヒット現象の数理モデルの拡張：地域イベントと映画：石井 晃（鳥取大）、他
14)　競馬市場での３つの巾乗則と投票モデル：守真太郎（北里大理）＆久門正人（S&P)

Session 5 (12:30-14:00)　座長：水野 貴之（一橋大）
15)　 家電製品の売上分布を用いたべき分布の検定：久野 遼平（一橋大）, 水野貴之（一橋大）
16)　マンション価格の統計性：大西立顕（キャノンＩＧＳ），他
17)　競争的社会における階級の自己組織化：藤江遼(九大、電機大）、小田垣孝（電機大）

Session 6 (14:30-15:30)　座長：田村　義保（統数研）
18) 複雑系の統計性〜自然科学から社会科学まで：松下　貢（中央大理工物理）
19)　EUにおける複雑系研究の動向：佐藤彰洋（京大）

当該研究に関する情報源（論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等）

１．過去の研究会プログラムが
http://amech.amp.i.kyoto-u.ac.jp/~aki/pukiwiki/economics/
http://irene.ike.tottori-u.ac.jp/mieko/ism_econophys
にまとめて載せられています。

２．統計数理研究所発行の共同研究リポート、177,187,198,209,226巻：
Vol. 177「経済物理とその周辺」2005年3月（統計数理研究所）1−86頁
Vol. 187「経済物理とその周辺(2)」2006年3月（統計数理研究所）1−174頁
Vol. 198「経済物理とその周辺(3)」2007年3月（統計数理研究所）1−110頁
Vol. 209「経済物理とその周辺(4)」2008年3月（統計数理研究所）1−99頁
Vol. 226「経済物理とその周辺(5)」2009年3月（統計数理研究所）1−128頁
Vol. 241「経済物理とその周辺(6)」2010年3月（統計数理研究所）1−96頁

に共同研究集会で発表された論文の殆どが毎年掲載されています。

３．<研究会発表>
・IDT2009(Intelligent Decision Technologies)2009年4月（イーグレ姫路会議場）
・第25回ファジイシステムシンポジウム2009年７月（筑波大学）
・「第10回創発シンポジウム」（計測自動制御学会）2009年8月8日（富山）
・「経済物理2009」（統数研共同研究集会「経済物理とその周辺」と基研研究会「経済物理」との共催）2009年9月8-9日（京都大学基礎物理学研究所／パナソニックホール）
・日本物理学会秋の分科会（熊大）「経済物理」分科会2009年9月
・Econophysicis Colloquium(イタリア,エリーチェ) 2009年10月25-29日:増川,相馬,田中
・9th Asia-Pacific Complex Systems Conference 'Complex '09' (Tokyo,Japan)
・日本物理学会第65回年会(岡大）2010年3月21日「経済物理」分科会

研究会議事録
1．Progress of Theoretical Physics, Supplement vol.179、2009
2. New Advances in Intelligent Decision Technologies(Springer Berlin) 2009
3．The 9th A sia-Pacific Complex Systems Conference 'Complex '09' (Tokyo,Japan) 中央大学
4.　第25回ファジィシステムシンポジウム議事録（2009年７月、筑波大学）
5.　素粒子論研究（京都大学基礎物理学研究所）117巻-5（E1〜132,35-60）（2009年12月）
6.　物性研究（京都大学基礎物理学研究所）93巻-5（2010年2月）
7.　日本物理学会講演概要集（第65巻第１号：第65会年次大会）に第２分冊（領域11「経済物理」セッション）

に共同研究集会分担者の講演概要が多数、収録されています。

英文学術誌、Physica A (Elsevier)に関連論文が多く掲載されています。

研究参加者一覧
氏名	所属機関
家富　洋	新潟大学
石井　晃	鳥取大学
石川　 温	金沢学院大学
石崎　龍二	福岡県立大学
大西 立顕	東京大学
小野崎　保	青森公立大学
黒田正明	明治学院大学
小林　正人	東京工業大学
佐藤　彰洋	京都大学
下浦一宏	ＮＰＯ法人科学カフェ京都
鈴木　忠雄	福島学院大学
高石　哲弥	広島経済大学
高橋　大志	慶應義塾大学
田村　義保	統計数理研究所
;鄭　;澤宇	東京情報大学
寺野 隆雄	東京工業大学
中村　泰之	名古屋大学
仲山　泰弘	新潟大学
長谷川　博	茨城大学
服部　彰	福岡大学
藤原 義久	国際電気通信基礎技術研究所(ATR)
水野　貴之	一橋大学
村井　浄信	岡山大学
山崎　和子	東京情報大学
山田　健太	東京工業大学
山田 隆志	東京工業大学
尹　煕元	株式会社シーエムディーラボ
渡辺　広太	東京工業大学
渡邊　隼史	東京工業大学
渡辺　陽平	東京工業大学