昭和611986)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

61−共研−6

専門分類

1

研究課題名

ガウス過程の初通過時間問題と応用

フリガナ

代表者氏名

ミマキ タダシ

御牧 義

ローマ字

所属機関

電気通信大学

所属部局

電気通信学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

ガウス過程をはじめとする確率過程のある境界への初通過時間問題は,はじめ工学における通信理論のなかで研究された。その後広い分野にわたって,この初通過時間が関与する現象が発見されてきた。ガウス過程に対して,この問題は限られた2,3の場合しか陽には解かれていない。本研究では種々の境界に対するこの問題を,シミュレーション,数値計算および近似理論によって解くことを目的とする。


工学,物理学,生物学などの広い分野にわたってガウス過程をはじめとする確率過程のなめらかな境界への初通過時間問題が関与する現象が数多く発見されている。
われわれはガウス過程のなめらかな境界への初通過時間の分布関数が多次元ガウス分布の積分を項とする交番級数であたえられることをすでに導いた。共同研究ではこの交番級数の各項の性質を調べることと,ガウス過程の標本道を計算機のうえに発生させ初通過時間分布そのものをシミュレーションによって直接得ることを目的とした。
交番級数の第1項が原点からピークを与える時刻付近までの分布の振舞をよく近似することが理論的に予想され実際級数の数値計算結果との照合から確かめられた。ピーク値よりあとの時刻の分布関数の振舞には第2項以下が大きく影響する。第2項目は5次元ガウス分布にかんする積分を実行する必要がありこれは解析的には不可能である。この項の種々の極限的な振舞について詳細に検討した。また高次の項についても同様な考察をした。そうして,ガウス過程の相関関数の相関時間にくらべて十分遠くの方で,また十分高い境界にたいしては分布が指数的に成り得ることを示した。他方ガウス過程の標本道を計算機で発生させそれから初通過時間の頻度分布を求めた。この結果,分布の振舞について応用で役にたつと思われる種々の性質が明らかにされ,またそれを説明する理論を構築した。このシミュレーションは精密を究めているそれゆえ,おなじ相関関数のガウス過程とおなじ境界に対してはこの頻度分布は交番級数から計算した分布にひとしくなることが期待されたが実際には両者には本質的とも思える食い違いがあった。たとえばシミュレーションで求めた分布は相関関数によっては多峰性である。しかし,交番級数による分布の表現のほうからはそれが予想されない。その原因について現在討論を重ねている。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

◎L.M.Ricciardi,S.Sato:On the evaluation of first−passage−time densities for gaussian processes,Signal Processing 11,339−357,1986
◎確率論とその応用研究会(昭和62年7月開催)で発表予定


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

ガウス過程をはじめとする確率過程のある境界への初通過時間問題は,はじめ工学における通信理論のなかで研究された。その後広い分野にわたって,この初通過時間が関与する現象が発見されてきた。ガウス過程に対して,この問題は限られた2,3の場合しか陽には解かれていない。本研究では種々の境界に対するこの問題を,シミュレーション,数値計算および近似理論によって解くことを目的とする。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

伊藤 栄明

統計数理研究所

佐藤 俊輔

大阪大学

Riccjardic M. Luigi

University of Napori