昭和631988)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

63−共研−106

専門分類

6

研究課題名

地震化学に関する時系列データの解析

フリガナ

代表者氏名

タカハシ マコト

高橋 誠

ローマ字

所属機関

地質調査所

所属部局

環境地質部

職  名

主任研究官

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

地質調査所で行われている,東海地震の予知を目的とした地下水位,ラドン濃度等の観測によって得られたデータについて,そのデータの変動の要因を解析し,地殻変動による地下水位,ラドン濃度の変化を抽出し,地下水観測データにおける異常値検出の手法を開発する。


東海地震予知を目的として,地質調査所では地下水位,地下水中のラドン濃度等の時系列データを観測している。本共同研究は,観測データから地震に起因する異常値を検出することが目的である。いままでの研究から,地下水位は気圧,地球潮汐,降雨などの自然条件と,揚水等の人工的な条件に影響されていることが判明している。本研究では,人工的な影響のもっとも少ない静岡県榛原長の地下水位データの一部分を解析対象とした。水位変動を把握するために,降水量を除く気圧等の自然条件を説明変数とする多変量線形回帰モデルを当てはめ,統計数理研究所開発のプログラムTIMSAC−78の中のMULMARを一部変更して使用し,解析を行った。その結果,次のことがわかった。
1.水位自身を説明変数として用いないとき,気圧・地球潮汐を説明変数とする場合がAICが最小になった。この場合,異常値を検出しやすいが,異常値が地震の影響か降水の影響か判断するのがむずかしい。さらにAIC最小のときの次数が大きい。
2.気圧・地球潮汐・水位自身を説明変数として水位を回帰した場合,残差の分散は小さいが,異常値を検出しにくい。
3.水位データをいくつかに区切って解析した場合,各単位ごとにAIC最小のときの次数,あるいは係数の変化が大きいことがある。水位データの解析には,時変係数多変量回帰モデルを当てはめる必要があると思われる。
今後は,地下水位データは欠測が多く,この部分は現在解析を行うことができないので,カルマンフィルターをもちいて補間を行う。また,線形モデルを用いて観測結果すべてを解析する。さらに気圧・地球潮汐と降水量を説明変数として地下水位を回帰させる非線形モデルによって解析する予定である。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

発表予定
第16回地球化学地震予知研究会 平成元年7月12日


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

地質調査所が所有している地下水観測データについて,その変動モデルを推定し,地殻変動(地震)に起因する変化を効率よく抽出するため,統計数理研究所の解析ソフトウェアの適用について検討する。
地下水観測は1978年より開始し,現在も継続中であり,2分毎のデータを収集している。現状では地震の影響と考えられる変動は数例,認められるのみであり,多くの場合,気象条件,機器の故障等によりデータが大きく変動し,目的とする異常変動の検出を困難にしている。
これらのデータに最新の統計理論を適用することにより,欠測等が多く,質の低い多変量時系列データの解析手法の開発が期待される。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

尾形 良彦

統計数理研究所

北川 源四郎

統計数理研究所

松本 則夫

工業技術院地質調査所