昭和601985)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

60−共研−19

専門分類

3

研究課題名

存否スペクトル法の統計的特性の解析

フリガナ

代表者氏名

アカイケ ヒロツグ

赤池 弘次

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

名誉教授

職  名

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

共同研究者のひとりである熊沢によって提案された存否スペクトル法は地球物理学における振動データ解析に有効な全く新しい方法である。この方法の統計的特性をモデル構成と最尤法の観点から解析し,計算方法を含めて改良の可能性を探る。


共同研究実施状況
この研究は,存否スペクトル法の地球物理学的データへの適用を推進する研究者と,時系列解析の理論と方法の研究者とが協力して,方法の特性の解明と改良の可能性を検討したものである。
代表者による統計数理セミナーでの報告に際し,共同研究員等が討論に参加し,方法の地球物理学的応用の実態の認識が深められるとともに,方法の適用に適した実測データの提供を受けて研究が進められた。
研究成果
存否スペクトル法は,形式的に見ると時系列の主成分分析の一種といえるが,この方法は経験的な直観にもとづいて実用化されたものであり,統計的推定法としての有効性については検討の余地がある。本研究では,明確に定義された統計モデルを採用し,これに最尤法を適用することによって,より有効な推定法が得られることを示す数値例が得られた。この計算手順は,フォートラン・プログラムの形で与えられている。
最尤法を適用すべきデータとして原データーの一部の周波数帯域の成分だけを利用することとし,その為の計算手順の検討が行なわれた。
この方法では,最尤法の結果にもとづき,特定の高次方程式を解くことが要求される。この目的に適した高次方程式の有効な数値的解法について実験的な検討を加え,地球物理学的実測データへの存否スペクトル法の適用に際して問題となるような根の分布を持つ方程式に対して有効な方法を見出した。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

H.Akaike,Use of linear statistical models in the analysis of time series,presented at the Time Series Conference of the 26th Summer Research Institute of the Australian Mathematical Society,Camberra,28−31 January 1986.(口頭発表)
H.Akaike,Use of statistical models for time series analysis,in Proc.1986 Int.Conf.Acoust.,Speech,Signal Processing(Tokyo,1986),Paper PL 1.1.


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

存否スペクトル法は高い共振性を持つ多自由度の線形系の過渡現象の観測データの解析法であるが,形式的には時系列の主成分分析の特殊な応用になっている。これを直接モデルにもとづく系の特性の推定の問題として捉え,必要な最尤法計算の実用性を検討する。存否スペクトル法はもともと地球物理学的振動現象の特徴と密接に関連して発展させられてきたものであり,このような系ならびにその観測データの性格について深い知識を持つ研究者と統計的方法の研究者との共同研究によってはじめて適切なモデルの構成とそれによる解析の展開が可能となる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

荒畑 恵美子

統計数理研究所

熊澤 峰夫

東京大学

田村 義保

統計数理研究所