平成71995)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

7−共研−93

専門分類

8

研究課題名

同性愛者の社会運動と下位文化構成の国際比較

フリガナ

代表者氏名

カマノ サオリ

釜野 さおり

ローマ字

所属機関

国立社会保障・人口問題研究所

所属部局

人口動向研究部

職  名

第2室長

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

本研究の目的は世界各国の同性愛者の下位文化の構成と運動の規模及び特色を統計情報を用いて系統的に記述すること、またそれらが同性愛の法律や様々な社会的要素とどの様な関連があるのかを分析することである。例えば各国の同性愛の法律の種類、経済状況、政治システムなどの違いが同性愛者の下位文化構成並びに運動状況にどう影響しているのかを分析する。


本研究では、ゲイとレズビアンのリベレーション運動とサブカルチャー構成の国際比較を試みた。主にゲイを対象にしてまとめられた旅行ガイドブック(Spartacus,1988)にリストされた世界124国においてのゲイとレズビアンの集い場所を機能別にわけ、各国の運動とサブカルチャーの発展状況を明らかにした。サブカルチャーと運動をcontinuumとして考え、1) クルージングを目的とした空間(公園の特定の場所等)、2)商業化した集いの空間(バーなど)、3)芸術活動に関連した空間(ギャラリー、劇場等)、4)知識、価値に関連した空間(図書館、書店等)、5)リベレーションを目的とする空間(運動組織、相談室等)の5機能に分類した。
各国でこれらの場所の数を求め、ゲイ・レズビアンのサブカルチャーと運動の規模の指標を数種類つくった。これらの指標を従属変数として重回帰分析を行い、政治システム、経済状況、都市化レベル、宗教システム、世界システムとのリンクの強さなどの諸変数の影響を調べた。社会ー政治ー経済システムの諸変数の効果はサブカルチャー・運動空間の機能によって変わってくることがわかった。本研究で用いたガイドブックはおもにゲイ対象であること、レズビアンの活動が必ずしもこのデータ源に現われるタイプではないこと等の理由で、研究全般がゲイ中心に偏ってしまった。レズビアンのサブカルチャーと運動の状況を明らかにするには、別の所にデータを求める必要があると考える。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Kamano,Saori."Chapter VI:Gay and Lesbian Subculture Formation and Mobilization
Activities:An Analysis of Gay and Lesbian Places,"in Same-Sex Sexual/Intimate Re
lationships:A Cross-National Analysis of the Interlinkages among Naming,the Gend
er System,and Gay and Lesbian Resistance Activities,Ph.D.Dissertation.1995.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

まず同性愛者達によって書かれた旅行ガイドにリストされた世界124カ国それぞれにおいての同性愛者対象のバー、本屋、運動団体、組織、相談室、刊行物などを、その目的、規模、利用者の属性などによって分類し、データのコーディング作業を行う。次にそれをもとに下位文化と運動を表わす様々な指標を作成し、それらを変数として釜野が過去に研究した世界各国の同性愛の法律との関連、また様々な社会的要素との関連を統計分析する。社会学的な観点から数多くの国のデータを解析する研究の経験を積んでいるKhorと共同でこの研究を行う。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

Khor Diana

法政大学