平成24(2012)年度 一般研究2実施報告書
| 課題番号 | 24−共研−2091 | 分野分類 | 統計数理研究所内分野分類 | j | ||||||
| 主要研究分野分類 | 3 | |||||||||
| 研究課題名 | 転移因子とホストゲノム進化との関係 | |||||||||
| フリガナ 代表者氏名 | ナカジマ ユミコ 中島 裕美子 | ローマ字 | Nakajima Yumiko | |||||||
| 所属機関 | 琉球大学 | |||||||||
| 所属部局 | 熱帯生物圏研究センター・分子生命科学研究施設 | |||||||||
| 職 名 | 准教授 | |||||||||
| 配分経費 | 研究費 | 40千円 | 旅 費 | 50千円 | 研究参加者数 | 2 人 | ||||
| 研究目的と成果(経過)の概要 | 
|  本共同研究では、ゲノム・表現型・生態という生物学的階層を通じて、転移因子とホストの相互作用について、現在も転移能を維持している転移因子が生じる種間・種内レベルの多様性のダイナミクスを実験(中島)と数理(間野)の両面から解析することにより実証することを目的とした。実験モデルとしては中島が十分な経験を有していているカイコ、クワコのゲノムを用いた。カイコ(Bommbyx mori)は、現在野生に生息しているクワコ(Bombyx madanrina)と、2種の共通祖先から約数百万年前にに分岐し、その後ヒトによって家畜化され現在に至っていると考えられている。現在2種は交配可能であり、クワコは東アジア各地に生息している。そこで、ゲノムの解読がほぼ終了したカイコゲノム情報と各地のクワコ集団内および集団間の多型を利用して特定の座位に挿入された転移因子の挿入時期を推定する試みを行った。DNA型トランスポゾン mariner-like element (MLE)はカイコゲノムでは6タイプ(Bmmar1-Bmmar6)が報告されている。その中のBmmar2に分類されるタイプで、しかもCecropia 蚕MLEの末端逆位繰り返し配列(Inverted Terminal Repeat)をプライマーとしてピックアップされたMLEであるCIM( Cecropia-Inverted-Mariner) はカイコゲノム中に19コピー存在する。今回は、MLEに他の転移因子が挿入された6番染色体と、MLEが単独で挿入されている9番と11番染色体に挿入されたCIMとその周辺のホストの配列を用いて、コアレセントモデルに基づくベイズ推定により次のことを明らかにした。1) 転移因子とホストゲノムの置換速度はほぼ同じで、転移因子をイベントの時刻の推定に使える。2) 3つのCIMはクワコの共通祖先より前に独立に転入した。3) クワコ、カイコの分岐は700万年前(既報に合致)。4) 6番染色体に挿入されたMLEに挿入されたレトロトランスポゾンL1Bmの挿入後、カイコの系統のみで更にレトロトランスポゾンBMC1が挿入された。そして、一部のクワコ集団でのみ、DNA型トランスポゾンBmamaT1が挿入され、またその中で更に一部の集団でBmamaT1が脱落した。5)クワコの多様性は有効集団サイズにして500万-1000万年前に共通祖先で確立された。5)カイコの多様性は有効集団サイズにして15万-30万年前に共通祖先で確立され家畜化されたのはクワコのごく一部だが数匹ではない。 | 
| 当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等) | 
| ※ 国際学会での発表 | 
| 研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。 | 
| 今年度は研究会の開催はなかった。 | 
| 研究参加者一覧 | |
| 氏名 | 所属機関 | 
| 間野 修平 | 統計数理研究所 |